利用することができる介護施設を探す中で、介護老人保健施設(老健)というサービスを目にしたことがある方もいるでしょう。
介護老人保健施設はどんな人が利用できて、費用はいくらぐらいかかるのかなど、より具体的な内容が気になっている方もいるかもしれません。
そこで今回は、介護老人保健施設(老健)を利用する場合の入所条件やかかる費用、施設の特徴などについて分かりやすく解説します。
介護老人保健施設で働くことを検討されている方はこちらの記事をご覧ください。
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記事でわかること
介護老人保健施設(老健)とは?
介護老人保健施設とは、「老健」と略されることの多い介護保険サービスで、介護が必要な方の心身機能の維持回復を図り自宅での生活を営むことができるようにするための支援を行う施設です。
つまり、介護老人保健施設は入所者が在宅復帰することを目的とした機能訓練(リハビリテーション)を提供する施設のことで、入所者は身体介護や日常生活における世話のみを受けるための施設ではないと言うことができます。
介護老人保健施設(老健)の設備とは?
介護老人保健施設は、入所者のベッドがある療養室、リハビリテーションを受ける機能訓練室、食堂、浴室を備えている施設です。
各部屋や設備の広さなどは以下の表をご覧ください。
参考:厚生労働省「介護老人保健施設の基準」
療養室については、最大4名で利用する多床室タイプと個室タイプが想定されます。
介護老人保健施設(老健)ではどんな人が働いている?
介護老人保健施設に入所する場合、どのような人が在宅復帰に向けた支援を行ってくれるのでしょうか。職種別に詳しく見ていきましょう。
医師
介護老人保健施設には、常勤の医師が1名以上働いているのが特徴です。入所者の体調を確認したり、薬の処方を行ったりします。
薬剤師
利用者が薬を処方してもらう場合、医師の指示に基づいて調剤する薬剤師が必要です。そのため、介護老人保健施設には薬剤師が1名以上働いています。
看護・介護職員
利用者の身体介護や身の回りの世話は、看護職員か介護職員が行います。介護老人保健施設は在宅復帰を目指すためのサービスとなるため、一人ひとりの状況に合わせて支援を行います。
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支援相談員
支援相談員とは、保健医療と社会福祉に関する知識や経験を持つ方のことで、施設内では以下のような業務を行っています。
- 入所者とそのご家族の相談支援
- レクリエーションなどの計画
- 関係機関との連絡調整
- ボランティア職員への指導
在宅復帰に向けた相談や、自宅で介護保険サービスが受けられるように関係機関との連絡調整なども担当してくれます。
理学療法士(PT)、作業療法士(OT)または言語聴覚士(ST)
介護老人保健施設は、在宅復帰を目指す施設で、入所者の身体機能の向上や、筋力低下を予防するためのリハビリを提供しています。
そのため、リハビリ専門職である理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)が働いています。
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栄養士
入所者に提供される食事は、栄養士や管理栄養士が献立を作成します。
食べやすさや栄養を考えた食事であることはもちろんのこと、糖尿病を患う方には減塩食を出したり、嚥下が困難な状態にある場合はペースト食を提供するなど、入所者一人ひとりに合わせた食事の準備を行います。
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介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護支援専門員(ケアマネジャー)というと要介護認定や利用する介護保険サービスを決める際に会う方とイメージされる方もいるのではないでしょうか。
介護老人保健施設の介護支援専門員は、施設での利用計画を立てる役割を担っており、在宅復帰するためにどんなリハビリが必要か、今後どのような生活が送れるようになりたいかということを踏まえて、施設での過ごし方を考えてくれます。
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調理員、事務員など
この他にも、入所者が口にする食事の調理員や、介護保険を適用した後の利用者負担分の請求に関する手続きなどを行う事務員など、施設ごとの状況に応じた職員が働いています。
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介護老人保健施設(老健)の入所条件とは?
介護老人保健施設は介護保険施設であるため、入所条件が設定されています。
介護老人保健施設を利用することができるのは、要介護1~5の認定を受けている65歳以上の高齢者で病状が安定していて、入院して治療を行う必要がなく、リハビリテーションを必要とされる方です。
40~64歳で特定疾病による要介護認定を受けている方も対象となります。
介護老人保健施設(老健)の特徴は?
介護老人保健施設の特徴として、入所期間が原則として定められていることと、リハビリに特化した施設であることが挙げられます。それぞれ具体的に見ていきましょう。
入所期間は原則3ヶ月
介護老人保健施設では、入所者が自宅に戻ることができるかという検討を3ヶ月毎に行います。
もちろん、検討の際にもう少し施設でのリハビリが必要と判断される場合には利用の延長となるわけですが、基本的な入所期間は原則3ヶ月と思っておくのが良いかもしれません。
リハビリに特化した施設
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といったリハビリ専門職が在籍している介護老人保健施設では、入所者が在宅復帰できるよう様々なリハビリテーションを提供します。
介護施設ではレクリエーションなどが豊富で余暇を楽しめるイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、介護老人保健施設はリハビリに特化した施設であるため、レクリエーションはあまり多くないと思っておくと良いかもしれません。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)との違い
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、要介護3~5の認定を受けている65歳以上の高齢者か特定疾病により要介護3~5の認定を受けている方が利用することのできる、介護保険施設です。
介護老人保健施設との違いは入所条件だけではなく、入所期間に制限がないこと、提供されるサービスが身体介護と身の回りの世話であることなどが挙げられます。
特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム)との違い
特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム)は、身体介護や身の回りの世話、食事提供のサービスを提供する民間の施設が運営する施設です。
介護老人保健施設と比較すると、リハビリテーションの提供は少なく、行事ごとのイベントやレクリエーションが充実しています。また、入居金を設けている施設もあり、利用料金として換算すると、費用がやや高い傾向にあります。
介護老人保健施設(老健)に入所する場合の費用はいくら?
介護老人保健施設は、介護保険を利用することが可能です。介護保険における自己負担分の費用と居住費、食費、日常生活費の支払いは必要ですが、入居金などの費用は発生しません。
入所者の要介護度や所得、利用する部屋のタイプなどによって費用は変動しますが、介護保険における自己負担額と居住費、食費、日常生活費を合計して、1ヶ月約8~15万円程度です。
自己負担上限額を超える分の居住費と食費が支給される
介護保険制度では、認定を受ける必要はあるものの、所得や資産が一定以下の方は自己負担上限額を超えた分の居住費と食費が介護保険から支給される仕組みがあります。
まずは、以下の表を見ていきましょう。
出典:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」
入所者の所得や預貯金額によって、認定区分が第1段階~第4段階に分類されます。この認定区分をもとに、居住費と食費の負担上限日額を確認しましょう。
居住費と食費の負担上限額
出典:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」
介護保険の自己負担上限額
居住費と食費の他、介護保険における自己負担上限額も設定されています。
高額介護サービス費
出典:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」
介護老人保健施設(老健)に入所するまでの流れとは?
介護老人保健施設に入所する場合、どのような流れとなるのか気になる方も多いのではないでしょうか。ステップごとに見ていきましょう。
まとめ
今回は、介護老人保健施設(老健)を利用する場合の入所条件やかかる費用、施設の特徴などについて分かりやすく解説しました。
退院後に自宅で生活を送るためにまずはリハビリを、というときに利用される介護老人保健施設。入所条件や特徴を理解して、介護保険の利用に役立ててくださいね。
参考
- 厚生労働省「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について」
- 厚生労働省「介護老人保健施設」
- 公益社団法人「老健施設とは」
- 独立行政法人福祉医療機構「介護老人保健施設」
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