病院とクリニックの違いとは?それぞれの特徴と使い分けについて分かりやすくご紹介!

病院とクリニックの違いとは?それぞれの特徴と使い分けについて分かりやすくご紹介!

体調が悪くなったときや、事故等でケガを負ったとき、私たちは病院やクリニックなどの医療機関を利用します。

医療を提供するという意味では病院もクリニックも同じですが、その特性や提供するサービスの内容にはいくつかの違いが存在します。

そこで今回は、病院とクリニックの違いについて分かりやすくご紹介します。

病院とクリニックは入院床数が違う

まず第一に、病院とクリニックは入院することができる患者数(病床数)が異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

病院

病院は20床以上の病床を保有しています。厚生労働省の医療施設動態調査(令和4年10月末概数)によると、全国にある病院の数は8,156で、病床数は以下の通りとなっています。

病床区分 定義 病床数
精神病床 精神疾患を有する方が入院するためのもの 321,646
結核病床 結核の方が入院するためのもの 3,855
感染症病床 一類・二類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症の患者及び新感染症の所見がある方が入院するためのもの 1,913
療養病床 上記3病床を除き、主に長期にわたり療養を必要とする方が入院するためのもの 278,362
一般病床 上記4病床に該当しないもの 886,864

参考:厚生労働省「病床区分の見直しについての参考資料」

クリニック

クリニックの病床数は20床未満です。厚生労働省の医療施設動態調査(令和4年10月末概数)によると、全国にあるクリニックの数は105,259で、病床数は80,157床です。

ただし、クリニックの総数に対し99,320の施設(94.4%)は病床がない、つまり入院することができないクリニックです。そのため、クリニックで入院が必要な状態であると判断された場合は、その多くのケースで医師が病院への紹介状を作成し、患者はその紹介状を持って改めて病院にかかる必要があります。

病院とクリニックは人員基準が違う

二つ目として、病院とクリニックはその施設で働く職員の人員体制に大きな差があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

病院

病院の人員体制は以下の通りです。数値は入院患者数に対して何人の職員が必要かということを表しています。
病院の人員基準

療養病床の「その他」に該当する職種は、以下の通りです。

  • 看護補助者       4:1(2024年3月末までは6:1でも可)
  • 理学療法士/作業療法士 病院の実情に応じた適当数

この他どの病床区分においても以下の条件を満たす必要があります。

  • 歯科、矯正歯科、小児歯科及び歯科口腔外科の入院患者に対して、歯科医師を16:1で配置する
  • 病床数が100以上の病院には栄養士を1以上配置する
  • 診療放射線技師や事務員その他従業者を、病院の実情に応じた適当数配置する

また、病院の外来における人員基準は以下の通りです。

  • 医師   40:1
  • 薬剤師  取扱処方箋75:1
  • 看護職員 30:1
  • 歯科医師 病院の実情に応じた適当数
※大学病院等とは
大学病院等とは、大学病院(特定機能病院及び精神病床のみを有する病院を除く)のほかに、内科、外科、産婦人科、眼科及び耳鼻咽喉科を有する100床以上の病院(特定機能病院を除く)のことを指します。
参考:厚生労働省「病院・診療所病床に関する主な人員の標準」

クリニック

クリニックは、療養病床を備える場合にのみ人員基準が定められており、一般病床を備える場合もしくは無床のクリニックの場合はその基準がありません。

そのため、クリニックは医師が1名いれば診療を行うことが可能です。しかし実態としては医師の他に看護職員や医療事務などの職員が配置されていることが一般的です。

療養病床を有するクリニックの人員基準

  • 医師    1
  • 薬剤師   医師が常時3人いる場合は専属薬剤師を配置する
  • 看護職員  4:1(2024年3月末までは6:1でも可)
  • 看護補助者 4:1(2024年3月末までは6:1でも可)
参考:厚生労働省「病院・診療所病床に関する主な人員の標準」

病院とクリニックは診療科目の数が違う

三つ目の違いとして、病院とクリニックでは診療科目の数が異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

病院

病院は、基本的に複数の診療科を開いています。内科や外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、小児科、整形外科など多くの診療科を有しています。

様々な診療科目を有することで、患者に対して専門的な医療はもちろん、総合的な医療を提供することが可能です。また、継続的なケアが必要な場合に患者が診療科を移動することができたり、医師や医学生等が幅広い分野での研究に役立てることなどもできるのです。

クリニック

クリニックは、基本的に一つまたは二つ程度の診療科を専門として診療を行っています。

医師が専門家を絞ることで、地域医療における質の高い診療を提供することができるだけでなく、限られた施設の面積において診療や検査に必要な設備を十分に備えることが可能です。

病院とクリニックは救急対応の可否が違う

最後に、病院とクリニックは救急対応ができるかどうかという体制に違いがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

病院

病院は、救急患者の受け入れや夜間や休日の急な診療に対応することができる環境を整えています。

患者の容体によってはすぐに手術が必要な場合もあれば、症状の進行を抑えるためには、夜間や休日でもなるべく早く処置を施す必要がある場合もあるでしょう。自分では救急で病院にかかった方が良いか判断できないという場合には、病院に問い合わせたり、市町村の救急コールセンター等に電話してみることをオススメします。

クリニック

クリニックは、基本的に救急患者の受け入れや、夜間・休日の急な診療に対応していません。

そのため、クリニックで診察を受けていた症状が急変した場合で、かかりつけのクリニックが休日や診療時間外の場合は、病院の救急外来を利用することを検討しましょう。

まとめ

今回は、病院とクリニック(診療所)の違いについてご紹介しました。

緊急性の高い治療が必要な場合や重症な状態の場合は病院が適している一方、どの科に掛かれば良いのか判断可能な場合や通いやすさという面を考慮する場合にはクリニックが適しているということができるでしょう。

それぞれの特徴を理解して、何かあったときにかかる医療機関を決めたり、転職先としてどちらを選択するのか検討するのに役立ててみてはいかがでしょうか。

e介護転職で求人を探す

参考