最初に働く職場環境は、介護職のキャリアに大きく影響を与えます。そのため、最初の職場選びは、これから介護業界で働きたい方にとって重要な問題です。
求人情報に記載されている情報を正確に読み取って、自分の理想的な職場で働けると高いモチベーションで働けるでしょう。
この記事では、介護求人を見る際に押さえるべきポイントについて解説します。この記事を読むことで、介護未経験でも自分に合った職場を見つける方法がわかります。
記事でわかること
給与に関するポイント
求人情報を確認する際に、最も気になるポイントが給与面に関する記載です。給与面の記載を誤って読み取ってしまうと、働き始めてから職場とのトラブルに発展する可能性もあります。
ここでは、給与面を確認する際のポイントについて解説します。
給与形態について
介護業界では、月給での仕事が一般的です。パートタイマーや派遣スタッフの場合は、時給や日給で計算することもあるでしょう。
厚生労働省が公開している資料「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、調査対象になっている施設のうち、日給で働く介護職員が251名、時給で働く介護職員が1,242名、月給で働く介護職員が23,448名でした。
ただし、この数値は処遇改善加算を取得している事業所で常勤として働いている方を対象にした場合です。
このデータから、介護施設で常勤として働く場合は、月給で働くパターンが最も多いといえます。
介護職員の求人票に記載されている給与額にも注意しましょう。求人票には、一般的に総支給額が記載されています。総支給額とは、基本給に資格手当や職務手当などを上乗せした金額のことです。
働いている方が実際に受け取れるお金は、総支給額から社会保険料と税金を差し引いた金額になります。
求人票に記載している金額が、そのまま手元に入ってくる金額でないことを覚えておきましょう。
手当について
介護職として働く場合、多くの職場で手当が支給されます。しかし、支給する手当は会社ごとに異なるため、詳細は各企業に確認しなければいけません。
以下に、多くの施設で取り入れられている手当をご紹介します。
- 資格手当
- 夜勤手当
- 時間外手当
- 通勤手当
- 職務手当
- 研修手当
資格手当は、主に介護福祉士の資格を持っていると支給されることが多いです。ただし、介護福祉士以外の資格でも資格手当を支給してくれる場合もあるため、詳細は各施設に確認するとよいでしょう。
求人を探す際には、必ず給与の額面に手当が含まれているのか確認するとよいでしょう。
例えば、施設によっては、介護福祉士の資格手当も含まれた金額で記載している場合もあります。介護福祉士の資格を持っていない人が、資格手当も含んだ金額を支給されると勘違いして応募してしまうこともあるでしょう。
求人を探す際には、どのような手当が支給されるのか、求人票の額面に手当が含まれているのか、事前に確認することをおすすめします。
賞与について
介護職の求人を確認する際には、賞与に関する情報も重要です。特に、賞与が支給されるタイミングと金額に注意しましょう。
多くの企業では、夏と冬の2回に分けて「基本給の何倍」といった形式で支給されています。しかし、一部の企業では「いつ支給する」と明記せず「業績によって支給」と記載されている場合もあります。
賞与の支給方法は各企業によって異なるため、希望している職場がどのような形式で支給するのか確認しておくとよいでしょう。
公益財団法人介護労働安定センターが実施した「令和3年度 介護労働実態調査」の結果によると、介護労働者の平均賞与額は605,212 円でした。賞与の金額を検討する際には、全国平均と比較してみてもよいでしょう。
勤務時間について
介護の求人情報を見る際には、勤務時間について詳細に確認しておきましょう。介護施設では24時間体制で提供されるサービスも多いため、シフト制の職場が一般的です。
求人情報をチェックする際には、自分のライフスタイルや家庭の事情に合わせて、勤務時間やシフトのパターンを確認することをおすすめします。
特に注意すべきポイントは夜勤の勤務時間と残業時間です。介護業界では、レクリエーションの準備や消毒作業などの雑務が多くなる傾向があります。実際に働く前に、残業時間や終業時間について確認しておきましょう。
休暇について
介護職として働きたい場合、職場の休暇制度についてもチェックしておきましょう。介護職は精神的、肉体的な負担が大きいため、適切な休暇が確保されていることが重要です。
求人情報を確認する際には、年次有給休暇の日数や、その他の休暇制度が明記されているか確認しましょう。また、リフレッシュ休暇や、介護休暇、育児休暇など、ライフイベントに応じた休暇が取得できるかも重要なポイントです。
休暇制度に関しては、以下のような種類がされています。
- 完全週休2日制
- 週休2日制
- 4週8休
- 月○日
- 年間休日
老人ホームなどの介護施設では、365日24時間サービスを提供しなければいけません。そのため、介護業界にはさまざまな休暇制度があります。
理想的な職場で働くためには、自分の生活リズムに合わせて休暇制度を選ぶことが大切です。例えば、土日は確実に休みたい方は完全週休2日制の職場を選び、土日も平日も関係なく自由に休みを取りたい方は4週8休の職場を選ぶとよいでしょう。
また、休暇を取りやすい職場を判断する目安として、有休消化率などの記載について確認する方法もあります。
休暇制度は、ワークライフバランスを保つために重要であり、高いモチベーションで働くためにも自分に最適な休暇制度を提供している職場を選ぶことが大切です。
施設の写真・働いているスタッフの写真
介護の求人を見る際には、施設の写真や働いているスタッフの写真をチェックすることも重要です。施設や職員の写真は、施設の雰囲気や働く環境をある程度把握する手がかりとなります。
施設の写真からは、清潔で整然としているか、また設備が充実しているかなどを確認できます。一方、スタッフの写真からは、職場の雰囲気やチームワークの良さを確認できるでしょう。
また、スタッフの服装や身だしなみもチェックポイントとなり、プロフェッショナルな印象を受けるかどうかを確認できます。
ただし、フリー素材を使用して、実際の職員や施設とは違う写真を載せている場合もあるため注意しなければいけません。本物の施設や職員の写真を使っているのか、確認しましょう。
また、写真の雰囲気だけを信じるのではなく、実際に見学に行って自分の目で確認することも大切です。
キャリアアップに関する制度について
介護の求人情報を見る際には、資格取得手当やキャリアアップに向けた支援についてもチェックしましょう。
資格手当やキャリアアップ支援がある職場では、自身のスキルアップに挑戦しやすい環境が整えられており、長期的なキャリアビジョンを描きやすくなります。
また、施設内で明確なキャリアパス制度が設けられているかも重要なポイントです。明確なキャリアパス制度があれば、モチベーションを保ちながら働き続けられます。
求人情報や面接時に、これらの制度について確認し、自分の目標と合致するかどうかを検討しましょう。
通勤面について
介護の求人情報を見る際には、通勤に関する情報も重要です。特に、通勤手当の有無や上限額などを確認しましょう。通勤手当は、毎日の通勤による経済的な負担を軽減してくれます。
また、通勤手段について確認することも大切です。交通の便があまり良くない地域では、自家用車やバイクでの通勤が必要となります。施設に職員用の駐車スペースが確保されているかも確認しておきましょう。
通勤しやすい職場を選ぶことで、毎日の仕事に対するストレスを軽減できます。
応募前にやっておくべきこと
介護職の求人に応募する前には、周辺地域の求人情報や働いている人の評判などを調査することをおすすめします。
他の職場と比較しなければ、自分が応募する職場の待遇について判断するのは困難です。周辺施設と比較して判断するとよいでしょう。
また、SNSやインターネットで施設の評判を調べ、悪い評判や働いている人の声がないかを確認することも大切です。特に、求人票やホームページなどではわからない内部からの意見は、重要な判断材料になります。
まとめ
この記事では、これから介護の現場で働く方向けに、求人情報を見るポイントについて解説しました。
介護の仕事は、とてもやりがいのある仕事です。しかし、自分のワークライフバランスも考えながら職場を選ばなければ、働き始めてからトラブルが発生する可能性もあります。
介護の求人を見る際には、給与、勤務時間、休暇、写真、キャリアアップ、通勤に関する情報を確認しましょう。
また、ある程度働きたい職場が定まった時点で、周辺の職場との比較や、インターネット上での評判も事前に確認することをおすすめします。
介護職として長く働くためには、最初の職場選びが重要になります。やりがいを持って介護の仕事ができるように、自分に最適な職場を慎重に選びましょう。
この記事を書いた人
作業療法士として病院勤務を経験後、複数の福祉施設を運営する会社経営に携わる。2ヶ所の通所介護施設を立ち上げ後、施設管理者を8年経験。現在も介護施設で働きながらライターとして活動中。
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