将来的に少子高齢化が進行する日本において、介護業界のデジタル化は非常に重要な課題のひとつです。そして、最近注目されているのが、介護業界で活躍するデジタル人材です。
この記事では、介護現場で活躍するデジタル人材になるため、知っておきたいツールをいくつかご紹介します。この記事を読むことで、デジタル人材の必要性や将来性についても理解できます。
記事でわかること
介護業界でデジタル化が必要不可欠な理由とは
日本の介護業界は、深刻な問題を抱えています。特に、介護人材不足、職員の負担増大、業務効率の悪化が問題とされており、それらの問題を解決するためにはデジタル化が必要不可欠です。
厚生労働省の資料「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、2040年には約69万人の介護人材が不足する予測が提示されています。
将来的に発生する深刻な介護人材不足を解決するためには、介護現場のデジタル化が必要不可欠です。
ICTやAIを活用したデジタル化によって、介護現場の業務効率が改善し、職員の業務負担を軽減できます。介護職員の業務効率が改善すれば、介護職員として働ける人も増加するでしょう。
また、介護の現場が働きやすい職場になることで、介護職の離職率低下も期待できます。さらに、これまで人が行っていた業務をデジタル技術で補完できるようになれば、現場に必要な介護職員の人数を削減することも可能です。
これらの理由から、介護業界のデジタル化は、将来的に予測される介護人材不足の問題解決に必要不可欠といえるでしょう。
デジタル人材になる上でまずは知っておくべきこと
デジタル人材とは、デジタル技術を活用して企業に新たなシステムや価値を作り出す人材のことです。
デジタル人材は、ITに関する幅広い知識から自社の課題に最適な技術を用いて、解決手段を導き出す役割を持っています。
デジタル人材がやるべき仕事は、ただ新しいデジタル技術を導入するだけではありません。業務全体を見直し、業務効率の向上を最終目的として必要なツールを選択する必要があります。
公益財団法人介護労働安定センターが実施した「令和4年度 介護労働実態調査」によると、介護職員の平均年齢は48歳です。
この調査結果からわかるように、介護業界にはデジタルネイティブではない世代も多く、ITツールへの抵抗感やPCスキルにばらつきがあります。
このような課題を解決するためには、スモールスタートでの推進、職員への説明と理解の促進、定期的な研修の実施などが求められるでしょう。
以上のことから、介護業界で働くデジタル人材には、ITに関する専門知識だけでなく現場スタッフのスキルや業務内容など、多方面から考えてシステムを組み立てられる柔軟性も求められるでしょう。
チャットツール
介護現場では、情報の正確さが利用者の命に関わるケースもあるため、スピーディで正確な情報交換が求められます。
しかし、2交代制や3交代制の介護施設も多く、職員全員で集まって情報交換を行う機会が減ってしまう場合もあります。
常時連絡を取りやすいようにLINEなどのプライベート用チャットツールを使用している施設もありますが、プライベートと業務中でツールを使い分けなければ、情報漏洩のリスクが高くなることも理解しておかなければいけません。
安全でスピーディかつ正確に情報交換を行うためには、業務用チャットツールを導入する方法がおすすめです。
業務用チャットツールは、情報共有を円滑にし、業務効率も上昇します。グループチャットを作成することで、利用者の日々の状況を迅速かつ正確に共有し、書類の提出や管理も簡単に行えます。
代表的な業務用チャットツールとして、チャットワーク、スラック、ラインワークスがあります。
チャットワークは、目的に応じたグループチャットの作成が可能で、利用者の日々の状況を迅速かつ正確に共有できます。
スラックでは、個別に鍵付きのチャンネルを作れるため、各フロアごとにチャンネルを設定し、状況確認や指示効率の向上に最適なチャットツールです。
ラインワークスは、普段使っているLINEと同じ感覚で使用できるため、新しいITツールに抵抗感があるスタッフでも使いやすい特徴があります。
Web会議システム
介護現場は、突然利用者の容体が変化して、予定外の対応に追われるトラブルも毎日のように発生します。
そのような現場で、固定の参加メンバーが定期的に同じ場所に集まり、会議を開催することは難しいでしょう。また、会議室に全員が集合する数分の待ち時間が業務効率を落とす原因となっている場合もあります。
そのような介護現場の課題を解決するものがWeb会議ツールです。Web会議ツールとは、オンライン上で会議を行えるもので、このWeb会議ツールによってインターネットに繋がったPCさえあればどこでも会議に参加できるようになります。
Web会議ツールの活用によって、会議室に集合するまでのタイムロスを短縮し、業務効率を改善することも可能です。また、在宅から会議に参加できるため、職員の勤務形態に合わせて柔軟に会議を開催できる点も大きなメリットとなります。
代表的なWeb会議ツールとして、Zoom、Skype、google meetなどがあります。
Zoomは、アカウント登録なしでビデオ会議を開始でき、ミーティングのスケジュール管理や参加者の招待も簡単に行えます。
Skypeは、音声や映像のクオリティが高く、接続環境によってはHD画質での通話が可能です。
google meetは、ブラウザ上での利用が前提となっており、シンプルな機能しか提供していないため、Web会議ツールに慣れていない方でも簡単な操作で参加できるメリットがあります。
googleスプレッドシート
介護現場での業務管理や情報共有において、便利なツールがGoogleスプレッドシートです。
Googleスプレッドシートは、Googleが提供するサービスで、誰でも無料で利用できます。
クラウド上で編集や管理ができるため、PCだけでなくスマートフォンから編集や保存をすることも可能です。また、複数人でリアルタイムに内容を編集できて、編集した内容は自動保存されるため、情報共有スピードが格段に向上します。
特に便利な機能がアクセス制限です。編集できる権限を一部の職員に限定し、その他の職員は閲覧だけできるようにしたり、コメントだけ残せるようにしたりできます。
インターネット環境さえあれば、どんな事業所でも無料で導入できるため、低コストで業務管理ツールを導入したい事業所は利用を検討してもよいでしょう。
スマート介護士について
スマート介護士とは、介護現場においてロボットやセンサーなどの先進技術を活用して業務の効率化やサービス品質の向上を図る介護士が取得できる資格です。
株式会社善光総合研究所が主催している民間資格で、介護業務の効率化やサービス品質の向上を目的としたICTや介護ロボットの導入・活用時に役立ちます。
スマート介護士には、難易度の低いBasicと上位資格のExpertがあり、オンライン上で試験を開催しています。
今後、デジタル化する介護施設が増加していく際に、スマート介護士の資格を持った介護職員は貴重な人材です。介護現場が抱える課題解決に活躍できるため、仕事のやりがいも感じるでしょう。
スマート介護士について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
スマート介護士とは?資格の取り方・仕事内容について分かりやすく解説
まとめ
この記事では、介護業界のデジタル化とデジタル人材になるために知っておくべき知識について解説しました。
介護業界が抱えるさまざまな課題を解決するためにも、多くの介護施設でデジタル化を推進する必要があります。
今回は、業務用チャットツールやWeb会議ツールについてご紹介しましたが、その他にも見守りセンサーや介護ロボットなどのIT機器も注目されています。
今後予測される介護人材不足問題の解決のためにも、介護業界のデジタル化は止まりません。ITツールに関する専門的な知識を持った職員のニーズは今後も増加していくでしょう。
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