介護業界の離職率低下の最大要因は人間関係がカギ

介護のニュースについて紐解いていくべく記事の執筆を担当させていただきつつ、ブログの運営と主任介護支援専門員の二足の草鞋で活動も継続中、居宅ケアマネとして奮闘中の

【公式】ケアマネ介護福祉士(【公式】ケアマネ介護福祉士 (@BWm7LDaUhfW1TPC) / X)と申します。

連載17回目はコチラの記事について考えていきましょう⇩⇩

介護労働安定センターが今月10日に結果を公表した最新の「介護労働実態調査」− 。昨年度の介護職員の離職率が、データを確認できた2007年度以降の最低を更新したことが明らかになったが、その理由などについても報告されている。【Joint編集部】

「離職率が低下傾向にある」と答えた事業所にその理由を尋ねたところ、「職場の人間関係がよくなったため」が63.6%で最多。険悪な空気がないことをあげたところが多かった。

また、早期離職の防止・定着の促進に取り組んでいる事業所に効果があった施策を聞くと、「仕事の内容は変えずに、労働時間や労働日を本人の希望で柔軟に対応している」が52.5%で最多。このほか、
◯ 残業削減、有給休暇の取得促進、シフト見直しなど=44.8%

◯ 賃金水準の向上=44.4%

◯ 仕事と家庭(育児・介護)の両立を支援する休業・休暇・短時間労働などの法制度の活用=43.6%

◯ 託児所の設置や保育費の支援など独自の子育て支援策=42.1%
といった答えも多かった。

この調査は、介護労働安定センターが昨年10月に実施したもの。全国の9077事業所・施設、2万人超の介護職から有効な回答を得ている。

働き続けるうえで役立っている職場の施策は何か? これを介護職に聞いたところ、
◯ ハラスメントのない人間関係の良い職場づくり=37.8%

◯ 仕事の内容は変えずに、労働時間や労働日を本人の希望で柔軟に対応している=35.9%

◯ 職場のミーティングなどで、介護の質を高めるための価値観や行動基準を共有している=33.8%
などが多かった。

(引用介護joint)

介護業界の離職率が高いは過去の話

ちょっと前にも、介護業界が離職率13%で過去最低を記録。

全産業平均が15%だからむしろ辞めにくい業種に変わったっていうことで介護業界全体がウキウキしているようですね。

【公式】ケアマネ介護福祉士的にも、ネガティブなイメージが変わるっていうのはとてもいいことなのでちょっとだけウキウキしている半面、業界別の離職率っていうのはなんか算定方法が曖昧で業界ごとによって離職率っていうのは目安にしかならないみたいな記事を見てソワソワしている感じです。

企業だけの離職者であれば単純にやめた人の割合なんですけど、介護業界に限らず、会社は辞めたけど、違う同業種の会社に入社…。

結果的に業界全体の離職者にはならないみたいな解釈をする業界もあるみたいで、算定方法が統一されていないっていうのは少し不安ですがそこは小さな誤差であろうと頭の中を割り切ってお祝いしたいくらいですね。

低賃金で辞めるベテランは極端に少なくなった?

この辺はちょっとはっきりとした統計やエビデンスはありませんが、低賃金を理由に介護業界からいなくなる人は少し減ったのかなっていう印象です。

特にベテランさんや資格を持っている人なんかは処遇改善加算のおかげで、年間給与とは別に40万円から多い人だと100万円近く給料が上積みされていることでしょう。

大変悲しい話ではありますが、介護業界は女性が多い職場…。

全産業平均と比べると給与は若干低く見えますが、女性職員だけに絞れば決して他の産業に引けを取らないですし、何なればパート比率とかを考えるとむしろ高いくらい…。

多分給与面で介護業界自体から離職を考えるベテラン率は下がったでしょう。

ハラスメントが減った

これに関しても、昔は関後業界同様で命に関わることを生業にしている介護業界。

ミスを人格否定交じりに叱責するのが当たり前だった介護業界も時代の流れによってそれが不味すぎるっていうのがようやく広く浸透したんでしょね。

仕事自体も昔は見て覚えろっていうのが普通でした。

確かに介護業界っていうのは様々な病気やバックグラウンドをもつ利用者さん相手なのでマニュアル的に仕事をすることは不可能…。

それでも今は入力方法や病気ごとのざっくりとした留意すべき点とかがある程度マニュアル化されていて、個別ケアとマニュアル化する業務っていうのがしっかりと融合し始めている。

また、昔は一斉介助でスピード重視の介護が求められ、常にベテランと新人が二人一組でオムツ交換や入浴を行う。
新人さんの粗を探してストレス発散代わりに人格否定するベテラン職員がいたりとか、家庭で何があったのか知らないけど、毎日喜怒哀楽が爆発しまくっていて就業前からイライラしている職員さんとかに新人さんは戦々恐々していたことでしょう…。

時代は変わって、今はそんな職員さんが法的に淘汰されていく時代。

もちろん会社によって違う働くためのマニュアルだったりとかルールは守らなければならないし、会社の方針を共有するために行う定期的な会議は必要だけど、職員いじめの場所になってはいけない。

そういった意味でも会議が職員の出来ていないことを吊るし上げる場ではなく、どうやって質のいいケアを提供できるようにするか?

意識と目的が変わることによって長いだけ、意味のない会議という認識から必要なものっていうマインドに変われば、たとえ拘束時間が変わらなくても長い会議でうんざりだっていう気持ちにはならないでしょう。

そういった意味でも、職員を吊るし上げる会議がハラスメントと認定された効果は大きく出ているのではないでしょうか?

働きやすさは介護業界だけではなくハラスメントを撲滅しようという意識があって変わっていっているものの、全産業平均がさほど変わらないを考えるとそれほど意識できていないオールドタイプの業界も多いようですね…。

個別ケアの効果は職員離職率低下にも一役買っている?

多くの施設が一斉に排泄等の介護するオールドタイプのシステムから個別ケア、いわゆるユニットケアに変わりました。
当初は、新人の教育が困難だったり、一人で働く時間が多いため責任だったりトラブルが自分一人にのしかかる重圧なんかで働く人が減るのではないかという危惧がされていました。

正直なところ【公式】ケアマネ介護福祉士も、人の命を扱う仕事である介護業界なので、一人で働くというのは大きなプレッシャー。

働きたくないっていう人も多く聞いていたので、離職や人材獲得がより困難になると思っていたタイプでした。

でも、この離職率低下という結果を考えると、もしかしたら仕事の負荷となっているはずの一人で仕事をするというプレッシャーというデメリットよりも他の職員との軋轢が緩和されるというメリットの方が大きく上回っているため離職率が下がったのかもしれませんね。

また、会議等に関しても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が功を奏したのか、ダラダラと長時間集まっての会議は減った印象ですし、zoom等を多用することによって会議に行くという移動分の時間が短縮された印象もあります。

特にユニット会議において残業代が出ないっていうところもよく聞きます。

まさに無駄な残業の削減っていう話に繋がってきます。

また、ユニット会議等であればそのあとみんなで食事に…。

みたいな煩わしい人間関係の付き合いと思っている人はそれも省略出来て一石二鳥なのかもしれませんね。

なによりzoomの無料アカウントを使うと40分で強制終了するからダラダラやらなくて済むしね…。

柔軟な働き方は実感している【公式】ケアマネ介護福祉士

昔は夜勤が出来なければ即辞めるなんて言うところも多かった印象ですね。

人員が上手く空いていれば運よくデイサービスへ異動。

場合によっては正社員で残れるけど、契約やパートへ処遇が降格なんて言うのもよく聞く話でした。

今は働き方改革が進み、めったなことで降格するっていうこともないし、妊娠や出産を機にクビなんか切ったら超絶大問題…。

ただ、そんな世の中は当たり前になっており、より働き方が柔軟で子育てや介護、副業と両立できる働き方を提案できないと人材不足の解消にはつながりませんね。

ただ、働き方に関しては業界全体というよりは、働き方改革が進んでいる事業所さんが増えたという印象で、業界全体が改善されたっていう印象は正直ありません。

実際に【公式】ケアマネ介護福祉士が現在勤めているケアマネ事務所も働き方改革を推進しており求人が止まりませんが、ケアマネの人材不足は深刻で1年間求人を出し続けても約半数の事業所が求人ゼロという状況。

その中で【公式】ケアマネ介護福祉士が働いている事務所はフルフレックス出勤と呼ばれるいつ働いてもいいいつ休んでもいい働き方。

スマホで出退勤はボタン一つ。

在宅での仕事が主で、煩わしい人間関係はほぼない。

子育てのために休むこともしばしばだし、こうして【公式】ケアマネ介護福祉士は副業としてライターもしている。

今時ある程度当たり前になりつつあるそんな働き方を介護業界に持ってきただけで求人は止まらない。

いいのか悪いのか、今年一年間はすでに新人教育を常に行わなければならない状況になっているくらい新人スタッフが入ってきています。

正直なところ、ケアマネ業界が求人出して半数が募集ゼロという危機的状況とは思えないくらいで、書類選考したほうがいいのかなって思うくらいです。

もちろん、在宅で働くためにzoomを多用したり電子FAX、個人情報を守るためのクラウド環境で働くスキルなんかは必要で平均年齢が53歳となったケアマネ業界では適応できない人も多くいらっしゃる可能性もありますが…。

介護現場で働く職員に関しても、気軽に有休をとれる雰囲気で人員の余裕はあるのか?

保育園併設か?

当たり前の福利厚生+何か特徴的な福利厚生

っていうところが大事なのであって

育児休暇、産前、産後休暇がありますなんて言うのは売りではなく当たり前。

有給取得率98%!!(無理やり空いている日に取らされるんでしょ?旅行行きたいから1週間お休みくださいとかどうせ無理なんでしょ?)

みたいなのを大々的に打ち出している時代遅れな企業が逆に敬遠される時代なのを分かっていない事業所さんは人材不足に拍車がかかり、有休も自由にとれない悪循環で苦しんでいる。

結果、働きやすい所へみんなが転職するという負のループ…。

職員が働きやすい環境を用意できた事業所だけが驚異の離職率0%に近い数字をたたき出しているので離職率が業界全体として下がっている印象はありますね。

大手ではソンポケアさんが高水準の給与に加え、最近はチョコザップとの業務提携により福利厚生が更に手厚くなる…。

障害メインのヘルパー事業所ではひだまりグループさんがマッチョ介護士の名に恥じぬ福利厚生でジムの利用料金やプロテイン代を補助している。

単なる福利厚生と思っている事業所さんと、福利厚生は職員確保や会社の名前を広めるのために必要な広告費を含んでいる重要なポイントだと思っている事業所さんでは雲泥の差が開いているようですね。

【公式】ケアマネ介護福祉士的に離職率は減ったが問題は新規求職者の獲得…。

離職率が減り、全産業平均から考えると大きな改善はありましたが、それでも介護業界のお先は真っ暗と言わざる負えないほど問題は山積しています。

今後の問題をどう解決していくかが生き残れる事業所なのか、定年まで働くことができないかもしれない危ない企業なのか?

そのポイントとなりそうな所を考えていきましょう。

新人未経験はいまだに低所得

今まで国から給付されている処遇改善加算は有資格者やベテラン職員に多く行き渡るシステムです。

以前から介護職員の給料は一人15000円、3万円上がる!

みたいな見出しが独り歩きしており、会社がピンハネしているとか横領しているとSNSで発信する方が散見されます。

正式には一人当たりそのくらいの助成金が降り、それをランク分けした職員へ分配しなければいけない。

詳細は省きますが、その分配率もかなりの格差を作らなくてはいけないルールだったので、どの事業所でももらってい
る人は5万円とかもらってるしもらっていない職員は1万円しかもらってないみたいな事態になっていました。

ベテラン職員や有資格者は厚い待遇なので、離職率は大きく低下したでしょうが無資格や未経験の新しい職員さんの待遇に関しては依然として低いまま…。

これからは新人さんや介護業界未経験の方々がより多く就職してくれる取り組み、やめづらい環境を提供できた事業所が勝つ時代になるのかなと【公式】ケアマネ介護福祉士個人的には考えます。

ICT化は諸刃の剣…

無駄な残業を減らすために効率的な働き方を推進。

一般的には記録業務だったり、見守り体制等を機械に頼るICT化が良くある話…。

ただ、これって大きな問題があって、ICT化推進に失敗するとICT化についてこれないスタッフが一時的に離脱する危険性があります。

特にある程度高齢のベテランスタッフ等は今まで培ってきたやり方を変えたくないとか、新たな業務に慣れるまで時間がかかるため以前よりも効率が一時的に悪くなる。

職員によってはその負担が大きく、離職の原因になったりもします。

ただ、若いスタッフを中心としたICT化による業務効率を望んでいる方々や、今後長い目を見て働き方を改革するうえでは必要なこと…。

スタッフの年齢や意識、過剰人員がどの程度いて、ある程度の離職に耐えられる状況なのかを判断しながら導入するべきなのでしょう。

【公式】ケアマネ介護福祉士も、以前はオールドタイプの会社へ提出する書類の多くは手書きで、出勤はハンコを押す。
有給申請は上司に申請書を直接提出みたいなところで働いていましたが、今は全て社内SNSの活用で申請書のやり取りを行っていますし、フレックス出勤で自分が好きなタイミングで休んだり出勤したりする会社に魅力を感じ、転職をしています。

小さなことかもしれませんが、働き方の改革っていうのはそういった意味でもスタッフの離職防止のために必要なことなのかもしれませんね。

介護業界だけでなく、日本全体がこんな形で働き方改革が進んでいくことでしょう。

より働きやすさが要求される

介護人材不足は毎年言われており、年間3.2万人ずつ増やしていかなければならないと話題になっていますね。

もちろん、外国人の方に働いてもらうとか国が動いていることもありますけど、それだけでどうにかなる数字でもない…。
国が大金を投じて日本人のみんなが目指すような職業になるとも思えませんし、そうなったらなったで誰が外貨を稼いで日本を豊かにするんだっていう問題にもなります。

今から子育て政策に取り組んでも向こう20年の人材不足は変わらない。

これからは介護業界だけでなく全業界にも言えることですが柔軟な働き方や隙間時間に働けるようなシステムを構築していくべきなのでしょう。

実際、介護業界にも隙間時間に働けるようなプラットフォームがいくつかあり、【公式】ケアマネ介護福祉士もその中の一つ『スケッター』を使って単発のリモートバイトを行ったのが副業を本気で取り組むきっかけでした。

異業種でのアルバイトも時折行っている【公式】ケアマネ介護福祉士でしたがやはりそのきっかけも単発バイトのプラットフォームを利用したのがきっかけ。

今では収入面でも『今月どれが複業でどれが副業?』みたいな時が出てきたりします。

本業はもちろんケアマネジャーですが、ライター業務やインフルエンサー業務が同じくらい稼働。

収入的にも同等だったりすると…。

本業状態が複数…。

いわゆる『複業』状態…。

それが許されるような本業の働き方を積極的に推進していけるような業界になると、他にやりたいことがあったり、夢や目標を追いかける人たちも働きやすくなる。

他業種からもより多くの収入を手に入れるため、介護の仕事を副業や複業にする人たちが働けるような環境を作る。
貴重な人材すらも業種を問わずシェアできるような働き方や関係を構築していく必要があるのかもしれません。

また、子育て政策が本当に進んだとしても介護業界にとってそれは遠い未来の話。

今、子育てや介護で仕事を一次的、あるいは長期間休んでいる人がスポット的にでも働けるようなシステムを構築する必要があるのかもしれません。

幸いにも介護業界は業種によって無資格未経験でも働ける…。

これをメリットととらえ、人材確保を急ぐ必要があるでしょう。

すでに成功している事業所は職員過多で、失敗している所は派遣会社からの派遣すら来ないなんて言う状況が始まっています。

この記事を見ている方が今働いている場所、運営している事業所は勝ち組ですか?

それとも負け組ですか?

負け組とならないように今からやれることをやる事業所、今に追われ衰退していく事業所に分かれるところ…。

すでに選ばれる会社とそうでない会社へ格差が開いているこの介護業界において、働き方を変えていけない会社さんはどんどん取り残され、職員不足に苦しみ、やがては倒産、廃業、吸収合併となって良く未来が待っているのかもしれません。

今しか見れていない会社さんは気づいていませんが、職員不足で苦しんでいない会社さんは柔軟な働き方とそれを上
手くアピールするSNS運用を当たり前にやっています。

特にSNS運用は会社の人的余裕のバロメーター。

SNS更新が全くない会社はその余裕がないと判定され、求職者から敬遠される負のループにはまりがち…。

皆さんの会社は求職者に選ばれる事業所となっていますか?

この記事を書いた【公式】ケアマネ介護福祉士のプロフィール

高校生からホームヘルパー2級(現介護職員初任者研修)を取得しアルバイトにて老人保健施設にて勤務。そのままアルバイト先の老人保健施設へ入職。
大規模法人にて、グループホーム、老人保健施設、通所リハビリテーションにて介護職員として従事。
経験を活かしながら介護支援専門員(ケアマネジャー)を取得し8年ほど従事。
その後自身の転居をきっかけに、相談員、介護職員を兼務しながら施設ケアマネとして5年間勤務。中間管理職を経て居宅ケアマネへ転身。
現在は主任介護支援専門員として日々子育てと仕事に全力で奮闘中。同時にブログも運営中。

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