物価上昇しても、介護業界の給料は上がらないと国が明言

介護のニュースについて紐解いていくべく記事の執筆を担当させていただきつつ、ブログの運営と主任介護支援専門員の二足の草鞋で活動も継続中、居宅ケアマネとして奮闘中の

【公式】ケアマネ介護福祉士(【公式】ケアマネ介護福祉士 (@BWm7LDaUhfW1TPC) / X)と申します。

ご好評いただいているため、連載2年目に突入!!

ご感想をお待ちしております。

連載23回目はコチラの記事について考えていきましょう⇩⇩

国の財政を話し合う財務省の審議会(財政制度等審議会・財政制度分科会)は16日に会合を開き、来年度予算の編成をめぐる議論を開始した。【Joint編集部】

財務省はこの中で、物価が上昇する局面での財政運営のあり方を当面の課題として提起。「一般に物価上昇局面では、政府支出による対応を求める声が増加する」との認識を示した。

そのうえで、医療や介護など社会保障費の膨張を加速させる懸念があると指摘。「物価や賃金の伸びを給付に反映した場合、保険料率のますますの上昇につながり、現役世代の負担が更に増えることにも留意が必要」とクギを刺した。

医療や介護の関係団体からは現在、足元の物価や賃金の伸びに応じた診療報酬・介護報酬の引き上げなどを訴える声が多くあがっている。今回、財務省はこうした動きをけん制した格好だ。

分科会長代理を務める増田寛也氏(日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)は会合後の会見で、「考えるべきは経済成長と財政健全化の両立。それが予算編成の中にあらわれることが大事」との見解を表明。「社会保障改革は財政健全化に大きく関わる。まだ政権が変わったばかりでこれからの部分もある。審議会としてもよくウォッチしていきたい」と述べた。

(引用介護joint)

日本はインフレーションの波に乗っている

このブログを読んでいる皆さんは間違いなくほとんどの方が日本で生活していることでしょう。

身近な生活でも令和6年10月から値上げの食料品は

アサヒ飲料
「三ツ矢」「カルピス」「十六茶」「おいしい水」など
約4~23%

伊藤園
「お〜いお茶」「健康ミネラルむぎ茶」など
約2.2%〜36.4%

伊藤ハム
「朝のフレッシュロースハム」など
約3%〜20%

エスビー食品
「ラー油」「まぜるだけのスパゲッティソース 生風味たらこ」など
約10.4%〜21.3%

亀田製菓
「ハッピーターン」「ぽたぽた焼」「揚一番」など
約9%〜22%

キリンビバレッジ
「午後の紅茶」「生茶」など
約6%〜25%

コカコーラ
「コカ・コーラ」「い・ろ・は・す」など
約5%〜18.9%

サントリー食品
「サントリー天然水」「サントリー緑茶 伊右衛門」
約6〜32%

ダイドードリンコ
「おいしい麦茶」「ダイドーブレンド 微糖 コーヒーラボ 世界一のバリスタ監修」など
約12%〜20%

宝酒造
「極上宝焼酎」「澪」など
約1%〜33%

ニッシンオイリオ
「日清キャノーラ油」など
約4〜7%

日本ハム
「森の薫り ロースハム」など
約1.1%〜27.6%

丸大食品
「燻製屋熟成あらびきポークウインナー」など
約10%〜25%

明治
「明治ほほえみ」「ザバス アドバンストホエイプロテイン100 ココア味」など
約3.5%〜6%

と多岐にわたり値上げとなっています。

もちろん食料品だけでなく電気代も

東京電力
1世帯当たり平均
840円程度の値上げ予定

となっており、一般家庭にインフレーション(物価上昇)の波にさらされております。

もちろんただ単に物価が上がるだけでは国民の生活が苦しくなるだけですけれど、政治家の皆さんの考えとしては物価の値段が上がって、外国への輸出も総量が変わらなければより多くのお金を手に入れられる。

結果的に日本が潤ってみんなの給料が上がるでしょっていう目論見です。

つまり、物価が上がった分外国からお金をどんどん獲得できるからその分給料も上がるよ!
ってことで安心してください。

みたいな話ですね。

一方で医療、介護業界は…

その一方で、良くも悪くも給料が物価の上昇で上がることのない介護、医療業界。

介護保険、医療保険については勝手に事業所が値段を決めることができません。

診療報酬、介護報酬は国が決めているため、オムツ交換一回当たりの値段を100円上げますとか注射一本当たりの値段を150円上げますとかができません。

でも、オムツ交換にかかるオムツ代はもちろん値上げされていきますし、注射の薬剤も値上げされていきます。

すでにディスポーザブルの手袋やマスク、消毒液なんかはジリジリと上がってきている印象です。

もちろん、最低賃金も上昇してパートさんや事務員さん、ドライバーさん等々の医療、介護従事者だけど間接的にかかわっている人たちの人件費も上がっています。

節約しようにも難しい電気代、ガス代、水道代ももちろん上がっています。

特に病院や介護施設はベッド数が決まっているためより多くの患者さんを受け入れてってこともできません。

様々な値段が上がる中、その物価に合わせて値段を上げられないということは、収入は変わらないのに支出は上がるということ。

そんな状況の中、働いている職員への人件費を減らすことはあっても物価上昇に合わせて大幅に上げるっていうことは難しいでしょう

デフレだった10年前は相対的に高給取りだったわけだし…

10~15年前くらいはサービス残業等を加味すると看護師が一番時給等が高いっていうデータもあったわけでして基本的に医療保険、介護保険業界は景気に左右されないっていうのが良くも悪くも特徴です。

実際に【公式】ケアマネ介護福祉士もリーマンショックなんかが起きてデフレが進んでいた期間は周りの一般企業勤めしている同世代がリストラや会社の倒産、ボーナス○%カット等の波に襲われていた時になんの不安もなく働き、給料も一定。

むしろ物価が下がった分、周りのご家庭よりもそれなりにいい生活を送れていた印象だったりもします。

物価が上がったからって会社の収入は上がらないし支出が増える

そんな中で、デフレの時期には失業や収入が減るなんて言う不安がなく安心して働ける業界に努めているのにインフレになったとたん給料を上げろと騒ぐっていうのは確かにお門違いなのかもしれませんね。

特に介護業界に関しては介護職員の賃金が低いということで直接国からボーナスが出ている状況(処遇改善加算)ですからこれ以上給料上げろと騒いでも秦椒が悪くなるだけなのかもしれません。

とはいえ働くところがなくなる可能性も…

そうはいっても、介護業界に関しては働くところが減ってきているのも現状です。

小規模のデイサービスに関してはもともと他の事業と比べ定収入、低支出のモデル。

車両費や燃料費、光熱費等の割合が大きく、このへんの高騰は大企業よりもダメージが大きく人件費に裂ける割合が低くなってしまうため実際に職員獲得も難しくなってきており倒産件数が増えています。

現時点では地域密着型のデイサービス、高齢化が進み過ぎて人材獲得が難しいのと経営能力が未発達の訪問介護事業所が倒産や事業停止をし始めているという程度…。

病院に関してもマイナンバーカード導入によるコスト増を機に個人病院の医師が引退し、廃業する病院がチラホラという状況…。

まだ社会全体に大きな影響は見られていないというところでそれほど大きな影響はないみたいですね。
社会全体としてみればそれほど影響がないといえるのでしょうが、過疎地域でデイサービスが一件減る、個人病院が一件減る。

とてもではないですが、小さなことではありません…。

大規模法人がどこまで耐えられるか…

4年に一度の介護保険改正。

今年その法改正があったため、根本的に物価に合わせた介護報酬を設定するのは4年後…。

介護職員だけはすでに処遇改善加算というボーナスを臨時に出すルートができている中、先に企業が倒産するんじゃないかビジョンも見られますね。

介護職員の給与が国から担保されている中、介護業界に必要な人員は他にも看護師やセラピストの専門職。
もちろんケアマネもその中に入る場合だってある…。

事務員等も必要。

もちろんこの人たちにも十分な給与を出さないと次々にやめ、人員欠如で施設の運営が成り立たなくなる可能性も十分にあります。

ただ、職員を確保できたとしてもこれだけ物価が上がれば内部留保(会社が貯めているお金)が少ない企業は耐え切れなくなるかもしれませんね。

内部留保っていうのが災害時や建物の修繕、新たな事業への資金として必要だったものなのにもかかわらず、国としては会社がお金をため込んでいるから景気が良くならないんだということで内部留保は悪だという風潮だった事、今なお続く新型コロナウイルス感染症の余波によりとてもじゃないですが内部留保が潤沢にある企業ばかりではなくむしろタイミング的にはこのインフレーションが続くと耐え切れない企業のほうが多いんじゃないですかね…。

令和6年に法改正が行われた後、最低賃金の上昇、食料品も多くの食品が5~10%ほど上昇している。

電気代、ガス代、水道代も毎月のように値上げ…。

これがあと4年間同様の水準で上がり続ければ介護医療業界の多くが沈んでいく流れになるでしょう…。

とはいえインフラ事業だから業界がなくなることはない…

業界全体が仮に衰退していけば、介護、医療業界という無くなって良い業界ではありません。

電話交換手やタイピスト、灯台守のように時代の発達によってなくなる業種ではないため本当に支障が出るようになれば国の介入は必須でしょう。

ただ、問題はそのタイミング…。

それまでにどの程度の企業が残っているかが問題でしょう。

実際に相次ぐ法改正により社会福祉法人も経営が困難になりつぶれているところ、身売りするところが出てきています。

また、記憶にも新しい10万円前後で都心部の利用者さんを集め経営破綻したりと無理な経営を強いられる事業所も今後は出てくるでしょう。

今まで以上に支出と収入のバランスを取り続けられる介護業界、医療業界という特殊な業界内の仕組みを理解して経営できる法人、企業だけが残る世の中になるでしょう。

ここ4年間でこの記事を読んでいるアナタが務めている企業は本当に生き残っているでしょうか?

それとも安易に施設の修繕や備品を削り、職員配置という意味合いも含めたサービスの質を落として乗り切るような企業でしょうか?

【公式】ケアマネ介護福祉士的に乗り切れない企業だと思うなら転職へ

ここ4年間でおそらく経営能力が低い企業さんの倒産や事業停止。

免れたにしても昇給なしやボーナスカット等が発生してくるでしょう。

また、インフレが長く続けば続くほど介護業界から去っていく人が増える傾向があります。

まあ他分野のほうが大きく収入が見込めるため仕方のない部分かもしれません。

ただ、もともと人材不足の所は更に人材不足へ陥る…。

シフトの融通が利かなくなったり残業が当たり前になる…。

そうなってくると給料だけでなく働き方や休み方に重点を置いている若い人や子育て世代は更に辞めたくなってきますね。

負のスパイラルに陥り、営業黒字でも職員不足により閉鎖なんて言う場所も出てくることが予測されます。

長いインフレが落ち着き、デフレ時代へ突入した場合、またリーマンショックの時同様、他分野で仕事を失った失業者が次々介護業界へ流れていきます。

そうなれば介護業界でも優良企業への就職は困難になる…。

介護業界=倒産の心配がないというメリットが崩壊し始め、長年働いているから徐々に給料が上がるという仕組みが崩壊しかかっている介護業界において優良企業に転職するべき時代でしょう。

この記事の運営元であるベストパーソンが運営するe介護転職やその他転職エージェントを利用するのも一つの手ですし、働くだけで思考停止せず、周りの運営状況や評判を耳にできるような状況を作っていくことをお勧めいたします。

この記事を書いた【公式】ケアマネ介護福祉士のプロフィール

高校生からホームヘルパー2級(現介護職員初任者研修)を取得しアルバイトにて老人保健施設にて勤務。そのままアルバイト先の老人保健施設へ入職。
大規模法人にて、グループホーム、老人保健施設、通所リハビリテーションにて介護職員として従事。
経験を活かしながら介護支援専門員(ケアマネジャー)を取得し8年ほど従事。
その後自身の転居をきっかけに、相談員、介護職員を兼務しながら施設ケアマネとして5年間勤務。中間管理職を経て居宅ケアマネへ転身。
現在は主任介護支援専門員として日々子育てと仕事に全力で奮闘中。同時にブログも運営中。

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