最低賃金1500円とマイナンバーカード健康保険証で人材不足確定

介護のニュースについて紐解いていくべく記事の執筆を担当させていただきつつ、ブログの運営と主任介護支援専門員の二足の草鞋で活動も継続中、居宅ケアマネとして奮闘中の

【公式】ケアマネ介護福祉士(【公式】ケアマネ介護福祉士 (@BWm7LDaUhfW1TPC) / X)と申します。

ご好評いただいているため、連載2年目に突入!!

ご感想をお待ちしております。

そんな連載24回目はコチラの記事について考えていきましょう⇩⇩

石破茂政権の発足で新たに厚生労働相に就任した福岡資麿氏が2日に初登庁して記者会見を行った。【Joint編集部】

福岡新厚労相はこの中で、「責任の重大さに身の引き締まる思い」と挨拶。「厚生労働大臣として実質賃金の増加を実現するとともに、人生の多様な選択を実現できる柔軟な社会保障制度を構築し、全ての人に安心と安全をもたらすよう全力で取り組む」と意欲を述べた。

石破首相からは、全世代型社会保障の構築と併せて、「子育て支援金制度の導入も踏まえた歳出改革」に取り組むよう指示があったと説明。石破首相が「2020年代に1500円へ引き上げたい」と打ち出した最低賃金については、「総理の指示を受けて引き上げの議論を加速していく」と表明した。

福岡新厚労相はこのほか、健康保険証の新規発行を12月2日に停止してマイナンバーカードへ一本化する政府の方針を「堅持したい」と明言。「不安の声も寄せられている。様々な対応を丁寧に講じていく必要がある」と述べた。

福岡新厚労相は51歳。参院佐賀選挙区選出の当選3回で、入閣は初めてとなる。厚労行政に通じ、自民党では厚労部会長も務めていた。

(引用介護joint)

最低賃金1500円へ引き上げ?

今回の内閣が打ち出した公約として最低賃金を1500円へ引き上げるということでさまざまな意見が飛び交っている所ですね。

2030年代前半にはこれを達成するという公約であり、早ければ6年、遅くても10年以内にこれを達成するためには都市部ではない地域であれば毎年ほぼ60円~100円ずつ最低賃金を上げないと間に合わない計算ですね。

給料が増えてうれしいなあって思う人もいるかもしれませんが、医療、介護業界にとっては死活問題ですね。

仮に今のまま最低賃金を引き上げた場合、どうなるか?

以前の記事でも触れていますので、詳しくはこちらをご参照ください⇩⇩
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前回記事の中で、潰れる企業、事業を停止する企業が増えてしまうかもしれない事には触れましたので、今回は生き残った事業所内でどんなことが起きるかを考えていきましょう。

施設では最低人員のみ

施設系最低人員である人員配置基準のみの職員配置となるでしょう。

具体的に言えばユニット型特別養護老人ホームは日中も夜間もほとんどの時間一人。

引継ぎ時間もほぼ設定されていない。

早番と遅番しかいない日がほとんどになるでしょう。

日勤は事務員さんや施設長さんや営業担当的なエリアマネジャー等々、現場にいない人たちが担っていることにしないと無理です。
したがって勤務変更なんかほぼ不可能。

有給消化はスポットのパートさんやタイミーさんみたいなスポットバイトが入った日に強制的に消化させられることになるでしょう。

職員の残業代は出せないので休まないような人が最低条件。

子育て世代はとてもじゃないですが急に休むので採用しませんていう会社だらけになるでしょうね。

事故だらけになる特別養護老人ホームか高級な民間施設か…

特別養護老人ホームはとてもじゃないですけど、人員配置基準のみの人員しかいないのでもはや事故は当たり前。

ユニット型があだとなっており、人員のやりくりも難しいため遅番と早番しかいない状況が当たり前の日中。

どちらかが入浴介助し、その間もう片方が排泄介助に居室へ入ろうものならばユニット内はもぬけの殻なんていう所が散見…。

本当に見守りなんてできないし、寝たきりの方は食事と排泄の時以外居室にすら入らないでしょう。

もうどこでどんな事故があってもおかしくない状況の施設ですがそれが当たり前になるでしょう。

民間の老人ホームに関しては食事代、電気代、水道代、ガス代あたりがガンガン時給1500円の物価に合わせて上がっているでしょうから利用料金はもちろん上がっているでしょう。

年金はおそらく物価指数に合わせて多少のスライドはあるかもしれませんがあったとしてもとても微々たるもの…。

資産家でない限りは自分たちの老後資金を賄うことは出来ず家族が負担する感じになるのではないでしょうか?

家族がいるご利用者さんは家族に金銭的負担をしてもらいながらも優雅な暮らしができているかもしれませんが、身寄りのない方々はよほどの貯蓄がない限り安心して民間の施設で最期を迎えることはできない世の中になっているでしょう。

国民年金のみの人は施設を諦め孤独死が当たり前になっているかもしれません。

それ以前に時給1500円とは毛頭関係のない話ではありますが、法制度的には身寄りや身元引受人が居ない人を不当に入居拒否してはいけないことになっているものの、実情は緊急連絡先やご逝去後の手続きを踏んでくれる確約をした人が居ないと施設入居が難しいっていうところが実態になります。

つまり多くの身寄りなし高齢者の方々は多額の資金を払って民間のそういった身元保証サービスを利用できない限り施設への入居は無理でしょう…。

ケアマネは担当上限が絶対条件

ケアマネに関しても時給1500円とすれば社会保険や年金等の会社折半分を考慮すると一人当たり月40万円+経費を稼ぎ出さないと会社にとってプラスになりません。

ということはもちろんケアマネの担当件数なんて入院やご逝去等で必ず毎月安定して40件なんていう数字を取らなければならないのであれば担当上限44件を常に目指して担当を持たないといけませんね。

担当44件を常に目指すというのは簡単に聞こえますがかなりしんどい数字です。

しかも、これにこれから先数年間を考慮すると車両代や燃料費、通信費なんかも高くなるかもしれないことを考えると上限まで毎月目指していても企業側にとってプラスになるかどうかっていう感じですね。

さらに言えば新規依頼がポコポコ来る事務所でも新人さんが44件持つまで【公式】ケアマネ介護福祉士の感覚だと人によっては1年半くらいかかりそう…。

そうなればその1年半は赤字確定。

ということは58歳とかで新しくケアマネになりますみたいな人は60歳の定年を迎えて仕事を辞めちゃう可能性を考えると雇うのがとてもじゃないけど怖いですよね…。

これと同様にケアマネが仕事を辞めるきっかけは5年に1回のケアマネ免許書き換え制度になります。

ケアマネの資格が残り1~2年の高齢ケアマネはマイナス域のまま退職されるリスクを考えると雇わなくてもいいかも?
という考えに至る企業さんも少なくないでしょう。

実際、ケアマネの免許が残り1年で、更新の研修費用を会社が負担。

車やパソコン、スマホを用意して、介護ソフトの追加料金を払う。

一年間しっかりと研修やオンザジョブトレーニンツを積んで結果的に0件→30件ほど担当したタイミングでケアマネの免許が切れるので退職…。

これ、企業にとってドマイナス…。

でも、時給1500円というのはそんなところまで考えて人材採用を考えなければいけないくらいの話です。

もともとケアマネの報酬は低く、2020年までは19年連続の業界全体赤字…。

今後、よほど新規の相談件数がコンスタントに来る事業所か大規模法人以外は2年間くらいは赤字覚悟で新規採用をしないといけない…。

とてもじゃないですけどケアマネのなり手不足に輪をかけケアマネの求人不足も加速するでしょう。

地域にケアマネが少なくて需要が高くとも、ケアマネを1年間赤字でも雇える事業所以外は採用しないため求人もないなんて言うところも出てくるかもしれませんね。

更に現役のケアマネには12月から大きなマイナ保険証という宿題が…

更に今回の公約ではマイナ保険証を絶対に整備しこのまま推し進めるというのが発表されています。

介護業界においてマイナ保険証の導入はどのような変化が起きるか…。

【公式】ケアマネ介護福祉士は現役でケアマネ業務を行っているのでこの後の展開が火を見るより明らかです。

ケアマネジャーと施設相談員的なポジションの人間が12月前後に地獄をみるタイミングになりますね。

それはマイナ保険証への切り替え…

数年前からケアマネをやっている方は想像できるでしょう。

以前も新型コロナウイルスワクチン接種の案内がきて、多くの自治体はオンラインや電話での予防接種予約でしたね。

オンラインの自治体も多かった印象で、【公式】ケアマネ介護福祉士もオンラインでの申し込みを代行してくれないかとめちゃめちゃ頼まれました。

ご家族がいても高齢で、むしろご家族の分も申請してくれないかっていう相談が次々舞い込んで…。

断れば鬼のように罵詈雑言…。

しかも今回のマイナ保険証はまだはっきりと方針が確定していないものの、原則的に神の保険証を廃止する方針の流れ…。

そうなれば新型コロナウイルスワクチンの時のようにはいきません。

本当にご利用者さん、そのご家族が医療を受けられないという事態になりかねない状況になります。

個人情報もふんだんに扱う手続きのためケマ根として代行するべきかどうかは国からも指針が出ていない以上迂闊には代行できません。

更に、今回のマイナ保険証への移行手続きの流れはこんな感じ。

■マイナポータルアプリを使用する

・「マイナンバーカードの健康保険証利用申込」をタップする
・利用規約などを確認し、案内に従って進む
・4桁の暗証番号(マイナンバー交付時に設定した番号)を入力する
・スマートフォンでマイナンバーカードを読み取って申し込みを完了する

■医療機関・薬局の窓口にある顔認証付きカードリーダーを使用する

・マイナンバーカードを顔認証付きカードリーダーに置く
・「マイナンバーカードを健康保険証として登録する」ボタンを選択する
・画面に沿って手続きをする

マイナポータルを利用して手続きを進めるために乗り越えなければいけない第一の壁として、利用規約を事細かに説明しなければいけない…。

自分自身や自分の家族なら流し読みでもいいけど、あれを一字一句読み聞かせなければいけない時点で時間的ハードルが爆増です。

更に大きな壁、4ケタの暗証番号です…。

こんなの利用者さんで覚えている人いるのかって話ですし、一歩間違えば家族が設定しているかもしれない…。

マイナンバーカードを作るうえで、マイナポイントが欲しいがために家族がいつの間にかマイナンバーカードを作っているなんて言う人の場合、自分自身で暗証番号を知っている人なんかいません…。

更に2番目、マイナンバーカードを読み取れる端末で操作をしなければならない。

利用者さんでも増えてはきましたが、スマホを持ってない人のほうが大多数…。

何なれば家族が機種変更を機にスマホを持ったけど使い方がわからないから電話に出れなかったとかはよく聞く話…。

会社からスマホを支給されているケアマネ事務所なら…。

っていう可能性もあるけど、国から申請代行の手続きしてくださいっていう正式なお達しが出たにしてもしても個人のスマホで申請のお手続きはちょっとご遠慮願いたいところだしなあ…。

また、医療機関で同様の手続きを踏むにしても医療機関がどこまでお手伝いしてくれるのか…。

新型コロナウイルスワクチン接種という全員が対象ではないものに関しても専門の職員を配置したりっていうことはありませんでした。

おそらくまだ病院側も想定していないのでしょうが、出足が遅れれば間違いなく病院内のマイナ保険証リーダーの前には長蛇の列…。

機械が複数ある所はリーダー登録と、リーダー登録が済んでいる人が受診するために操作するパネルに分かれるでしょう。
問題はリーダーが一つしかないところ…。

おそらくマイナンバーカード登録が済んでいない人の受診を断ったり、診察時間ではないお昼休みとかに自分で登録してから受診してくれとかの対応になりそう…。

いずれにしろリーダーの前に人員を配置し、そのアナウンスだったりルールを守らない人へ向けて注意を促したりっていうことが必要になるでしょう…。

個人病院に至っては高齢の患者さんが多いイメージですが、大病院や中規模病院のようにマイナ保険証一律お断りなんて言う対応は出来そうな感じはしません…。

おそらく診療受け付け窓口は診察どころではないくらい崩壊するイメージしかわきませんね…。

考えただけでおぞましいですが、それを病院も国民もはっきりと打ち出されていない以上対策やアナウンスが出来ていないというところですね。

また、普段病院へ行っていない人や手続きを踏んでいない状態の人で、夜間救急や時間外での病院受診等ではおそらく手続きも踏めないでしょうし…。

そもそも病院に行けるような状態ではなく訪問診療等を受けている人とかに関してはどうやって手続きを進めればいいものか…。
ケアマネにとって、12月は新型コロナウイルス感染症のワクチン予約以上に難しくて早急に判断が必要となる場面が要求されるでしょう。

事前に居宅内で方針を決めておくべき必要があるのでしょうが、まだ国からも全容が明らかになっていない中で方針を決めるというのもいかがかなという状況…。

早く声明を出してほしい所ですね。

時給1500円以上で働いていたとしても最低賃金の上昇で給料が減る

そうはいっても時給1500円を月給換算にすると25万2000円…。

介護職員さんに関しては基本給だけでここまで高いっていうのはそう相違ないかもしれませんがケアマネ界隈や医療業界で働いている人たちはこの辺を超えているかもしれませんね。

そんな人たちは最低賃金が上がっても自分たちには関係ないと思っているかもしれませんね。

それは大きな間違い…。

めちゃめちゃ関係のあることです。

最低賃金をなぜ引き上げる必要があるのか…。

もちろん日本の経済が上向きになるためっていうのが大義名分ですが、短期的なところで見れば、所得を上げて社会保険料や介護保険料をもっと多く徴収しようというのが実のところでしょう。

実際、今年も最低賃金や給与所得は日本全体で見れば上がっていますが手取りが変わらないor減ったなんて言う人がネットを中心に散見されます。

それは社会保険料や介護保険料等の社会保障費がそれに合わせて上昇しているからに他ならないです。

つまり、今現在時給1500円以上もらっている医療業界や一部の介護業界で働く方に関しては給料は一切変わりませんが最低賃金上昇に合わせてガンガン社会保険料が増えるので基本的に手取りがこの政策が上手くいけばいくほど減っていきます。

更に最低賃金が引き上げられ、経済が上手く回れば回るほどインフレーションが進むため、給料は変わらないのに生活費は自然増していくので生活が苦しくなるという構図ですね。

国が医療従事者、介護従事者のために新たな加算や処遇改善のような給付金を出さない限り業界で働く人たちは景気が上がれば上がるほど真綿で首を絞められる状況の中、自身が働く法人が経営悪化しないかにびくびくしながら働く構図が確定しています。

【公式】ケアマネ介護福祉士的に令和6年12月と毎年4月がケアマネとして山場を迎える

端的に説明をすると

令和6年12月はマイナ保険証によりケアマネは振り回される

令和7年 4月国の政策が上手くいっていれば最低賃金の引き上げや物価高騰、社会保障費の増大により手取りは減るけど、仕事は増える。

介護保険制度の報酬改定が令和9年に行われるがそれまでは国が臨時の政策を作らない限り耐え忍ぶしかない。

令和9年 4月介護保険報酬改定により状況が好転するかもしれないし、報酬の改定によって3年間の地獄が確定するかもしれない。

もしかしたらこの記事を見ている方々の職場が経営悪化によってなくなっているかもしれないのは大前提ですが…。

ただ、今回は実質賃金を向上させると表明している厚生労働相に就任した福岡資麿氏ですので、実質賃金=手取りと考えるのであれ
ば社会保障費の上げ幅以上に最低時給を上げてくる見込みなのでしょう。

その場合、医療、介護職員の実質賃金=手取りは確実に減りますから何らかの保障や補正が組まれることを願いたいところですね。

この記事を書いた【公式】ケアマネ介護福祉士のプロフィール

高校生からホームヘルパー2級(現介護職員初任者研修)を取得しアルバイトにて老人保健施設にて勤務。そのままアルバイト先の老人保健施設へ入職。
大規模法人にて、グループホーム、老人保健施設、通所リハビリテーションにて介護職員として従事。
経験を活かしながら介護支援専門員(ケアマネジャー)を取得し8年ほど従事。
その後自身の転居をきっかけに、相談員、介護職員を兼務しながら施設ケアマネとして5年間勤務。中間管理職を経て居宅ケアマネへ転身。
現在は主任介護支援専門員として日々子育てと仕事に全力で奮闘中。同時にブログも運営中。

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