- 認知症ケア専門士の仕事内容とは?
- なるための資格の取り方とは?
介護の資格は、介護福祉士といった国家資格だけではなく、様々な民間資格もあります。より専門性を高めスキルアップを目指したい、転職に有利な資格を取得したいと、認知症ケア専門士に興味を持つ人も多いのではないでしょうか。
実際に、認知症ケア専門士を取得するメリットは何なのか、気になりますよね。また、資格取得までの道のりや合格率についても知っておきたいところでしょう。
そこで今回は、認知症ケア専門士とはどのような資格なのか、仕事内容や資格取得方法、試験の概要、メリットについてご紹介していきます。
記事でわかること
認知症ケア専門士とは?
認知症ケア専門士は、一般社団法人日本認知症ケア学会が主催する民間資格です。国家資格ではありませんが、更新制の資格で、2005年の創設以降様々な資格や経験を持つ方が取得し、登録されています。
公式サイトによると、認知症ケア専門士とは「認知症ケアに対する優れた学識と高度の技術、および倫理観を備えた専門技術士を養成し、わが国における認知症ケア技術の向上ならびに保健・福祉に貢献する」ことを目的とした資格とあります。
この資格を取得すると、認知症への理解や技術を深めた証となります。職種別では介護福祉士の取得率が高くなっていますが、医師や看護師等の医療関係者が取得し役立てるなど、医療分野でも注目されている資格です。
認知症ケア専門士の役割は?
認知症ケア専門士は、認知症の方への関わりのプロとして、より実践的な知識と技術を持った人材として活躍することが期待されています。
介護現場では、認知症の方への支援に困ったときにより良いケアの方法を考え実践したり、職員へアドバイスしたりと、重要なポストを任されることもあります。
認知症ケア専門士資格の詳細
認知症ケア専門士は、さらに上級資格となる認知症ケア上級専門士もあります。
この資格の違いで、法的に出来る業務が異なるわけではありませんが、認知症ケア上級専門士を取得するとより仕事の幅が広がる可能性があります。
認知症ケア専門士
認知症介護従事者の自己研鑽および生涯学習の機会提供に設けられた資格です。養成された人材が認知症の人や家族に対して高い知識と技能に基づくサービスを提供し、日本の福祉に貢献することが期待されます。
認知症ケア上級専門士
ケアチームのリーダーや地域のアドバイザーとして活躍できる人材の養成を目的としています。専門職としての倫理観をよく理解し、認知症ケアの方法を理論的に説明できる能力と実践が求められます。
資格を取ることで得られる知識、内容
認知症ケア専門士を取得すると、認知症ケアに関する様々な知識や、ケアを行う上で重要となる技術を身に付けることができます。
1次試験では、認知症ケアの基礎や、ケアの実際、社会資源についての知識が問われます。
認知症ケアの基礎
認知症の特徴や予防、ケアの方向性などを理解し、認知症の人を取り巻く社会的環境について学びます。
認知症ケアの実際
総論と各論があり、総論では認知症ケアの具体的な進め方、家族支援について学びます。各論では、認知症の方の身体的な兆候や、BPSD(認知症の行動・心理状況)とその対応について、薬物療法と非薬物療法、リハビリテーション、施設・在宅における支援、ターミナルケア等があります。
認知症ケアにおける社会資源
認知症の人が社会生活を送るための社会資源について知ることができます。
2次試験では、スピーチとグループディスカッションを行い、適切なアセスメント力や介護計画の立案能力なども問われる内容となっているため、認知症ケアの実践能力も身に付きます。
認知症ケア専門士資格を取得するには
認知症ケア専門士資格を取得するには、まず受験資格を満たす必要があります。
受験資格
受験するには、実務経験が必要です。実務経験は、「認知症ケアの関連機関や団体において、受験年の3月31日より10年以内に3年間の実務経験があること」と決められています。
試験を受ける年の3月31日から過去の10年間の間に3年間の経験が必要です。つまり、2020年に受験をする場合2010年4月1日~2020年3月31日までの間が対象の期間となります。
この認知症ケア関連機関や団体とは、認知症専門の介護施設や病院等に限りません。認知症ケアに携わっていれば、職種や職務内容を問わず受験資格が得られます。しかし、ボランティアや実習はカウントの対象外です。
受験~資格取得までの流れ
試験概要
1次試験、2次試験について、それぞれ概要をみていきましょう。
第1次試験
試験日時 | 7月中旬 |
試験分野 | 認知症ケアの基礎 認知症ケアの実際I : 総論 認知症ケアの実際II : 各論 認知症ケアにおける社会資源 |
試験形式 | マークシート式・五者択一 |
受験料 | 受験の手引き(願書) : 1,000円 1次試験 : 12,000円(1分野3,000円×4分野) |
出題範囲 | 認知症ケア標準テキストに沿った内容 |
出題数 | 各分野50問/4分野合計200問 |
合格要件 | 4分野、それぞれ70%以上の正答率 |
第2次試験
試験日時 | 論述(提出期間) : 8月下旬~9月下旬 面接 : 12月上旬 |
試験内容 | 論述 : 認定委員会より出題される事例問題の論述 面接 : 当日発表されるテーマについて、スピーチとディスカッション |
試験形式 | 論述 : 指定された期間内に提出 面接 : 1分間スピーチと20分程度のディスカッション |
受験料 | 8,000円 |
合格要件 | 認知症ケア標準テキストに沿った内容 |
合格要件 | 論述・面接の総合評価により以下5つの要件を満たすこと 1.適切なアセスメントの視点を有している者 2.認知症を理解している者 3.適切な介護計画を立てられる者 4.制度および社会資源を理解している者 5.認知症の人の倫理的課題を理解している者 |
認知症ケア専門士資格の勉強法
認知症ケア専門士の受験勉強の方法は、様々です。ライフスタイルや取り組みやすい方法で資格取得を目指しましょう。
オンライン講座やアプリで勉強する
eラーニング講座は、認知症ケア専門士の勉強をオンラインで行える医療系動画配信です。インターネット環境があれば、パソコンやスマホ、タブレットで学習できるため、出先でも空いた時間を利用して勉強できる点が魅力です。公式テキストの内容を分かりやすく説明・解説しているため、あまり勉強に自信がない方でも受けやすいのが特徴です。
※参考
https://www.ninteishi-web.com/?gclid=EAIaIQobChMI1qW96fLA5gIVg3ZgCh2EEACsEAAYAyAAEgIPyPD_BwE
講座を受ける
講座の開催場所は限られますが、毎年2日間にわたる受験対策講座が開かれています。2019年は横浜と京都で行われ、参加費用は15,000円でした。なお、この講座に参加する場合、公式テキストの準備も必要です。
独学で勉強する
認知症ケア専門士の試験は、公式テキストの内容をきちんと理解すると合格に近づきます。公式テキストを購入し、コツコツと独学で勉強する方法も良いでしょう。公式テキスト以外のテキストや問題集も販売されています。
認知症ケア専門士の資格が役立つ職場とは
認知症ケア専門士の資格は、医療・介護・福祉の様々な職場で役に立ちます。
介護サービスを提供する施設や事業所、中でもグループホームでのニーズが高いです。また、介護事業所だけでなく、医療機関や地域包括支援センターといった相談窓口でも、その知識や技術を十分に役立てることができます。
資格取得のメリット
認知症ケア専門士を取得すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
就職や転職時に有利となる
介護保険施設では、日常生活に支障があると認められる症状・行動のある認知症の高齢者に対してサービスを提供した場合、「認知症ケア加算」が認められます。
認知症ケア加算の算定要件はいくつかありますが、この算定要件を満たすことで1日76単位が加算されることとなり、施設側の利益につながります。施設側は、加算を得るための体制づくりを行っているところも多くなっており、認知症の方への支援が得意な人材は就職や転職にも強いです。
給料UPにつながる
認知症ケア専門士の資格は民間資格のため、資格手当として給与に直接影響しない可能性もありますが、近年では資格手当として給与アップにつながる職場も増えています。
また、資格手当に反映されなかったとしても、認知症ケア専門士を取得していることによって、介護現場の重要なポストを任される可能性があり、そのぶん基本給アップも見込めるでしょう。
まとめ
高齢化に伴い、今後ますます認知症を発症する人の割合も増えると予想されています。高齢者の介護や医療に携わる場合、認知症の方への関わりは必然です。しかし、認知症の方への関わり方や支援の方法について悩んでいる人はたくさんいます。
認知症ケア専門士は、認知症を発症し困っている方の支援はもちろん、まだ認知症についてあまり知らない人々が認知症について知るきっかけとなる、架け橋のような存在として活躍できることも求められています。
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