福祉用具専門相談員とは? 資格の取り方や給料、やりがいについて詳しく解説!

福祉用具専門相談員とは? 資格の取り方や給料、やりがいについて詳しく解説!

日常生活を送ることに不便さを感じている高齢者や障害者が利用する福祉用具ですが、その方に適した福祉用具を提案したり、利用方法をレクチャーしてくれる存在の福祉用具専門相談員をご存知ですか?

  • 福祉用具専門相談員とは
  • 福祉用具専門相談員の仕事内容
  • 福祉用具専門相談員になるには
  • 福祉用具専門相談員の給料
  • 福祉用具専門相談員のやりがい
  • 福祉用具専門相談員に向いている人

今回は、福祉用具専門相談員の仕事内容、資格の取り方、給料、やりがい、向いている人の特徴について詳しくご紹介します。

福祉用具専門相談員とは

福祉用具専門相談員とは、高齢者や障害者の心身の状況や生活環境、どのような生活を送りたいかということをアセスメントし、知識を用いて福祉用具の選定や使用方法のレクチャー、定期的なモニタリングなどを行う職種です。

介護保険制度における福祉用具貸与・販売事業所では、福祉用具専門相談員を2名以上配置することが義務づけられています。

福祉用具貸与・販売事業所について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
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福祉用具専門相談員の仕事内容

福祉用具専門相談員の仕事内容は、具体的に以下の4つに分類されています。

  • 選定相談
  • 計画作成
  • 適合・取扱説明
  • 訪問確認(モニタリング)

それぞれの仕事内容について詳しく見ていきましょう。

選定相談

選定相談とは、福祉用具の利用を希望される利用者及びそのご家族に対するアセスメントを行い、置かれている状況やご希望に添って適切な福祉用具をご提案することを指します。

利用者に合っているか、介護者は利用しやすいかということだけでなく、ご自宅のスペースや生活導線についても考慮する必要があります。

計画作成

計画作成とは、選定相談をもとに実際に利用する福祉用具の利用計画を作成することです。
この計画は「福祉用具サービス計画」と呼ばれ、以下の情報をまとめます。

基本情報
  • 氏名や年齢、要介護度などの利用者の基本情報
  • 利用者の身体状況、ADL
  • 介護環境について
  • 利用者とご家族の意欲、意向
  • 住環境について
選定提案
  • 利用者に対して福祉用具を提案した課程
  • 機能や使用方法、利用料など
利用計画
  • 目標
  • 目標を達成するための具体的なサービス内容

参考:一般社団法人全国福祉用具専門協会「福祉用具サービス蹴計画書とは」

適合・取扱説明

適合・取扱説明とは、利用することになった福祉用具を利用者に合わせて調整し、利用者や介護者が安全に且つ十分に活用できるように取扱いを説明することです。

福祉用具を利用することで、かえって生活に不自由が生じることのないよう、柔軟な対応が求められます。

訪問確認(モニタリング)

福祉用具専門相談員は、利用している福祉用具が適切に扱われているか、利用者の生活に適していたかということはもちろん、利用者の心身の状態や生活環境に変化が生じていないかということも定期的に訪問して確認する必要があります。これをモニタリングと言います。

場合によっては福祉用具サービス計画書を作成し直す必要もあるかもしれません。また、利用者だけでなく介護者の様子にも気を配り、必要があれば他の介護サービスを利用することができないかと、担当するケアマネジャー(介護支援専門員)と連携することもあります。

福祉用具専門相談員になるには

福祉用具専門相談員になるには、福祉用具専門相談員指定講習を修了し資格を得るか、特定の国家資格を保有している必要があります。

福祉用具専門相談員は介護保険法に基づく資格で、都道府県知事が認める公的資格です。

福祉用具専門相談員の資格を取る方法、指定講習を受講しなくても業務に就くことができる国家資格について紹介していきます。

福祉用具専門相談員の資格取得方法

福祉用具専門相談員の資格を取るためには、福祉用具専門相談員指定講習を修了する必要があります。

受講資格は特に定められていないため、どなたでも受講することが可能です。講習の実施機関は地域ごとに異なるため、申し込みを行う場合は一般社団法人全国福祉用具専門相談員協会のページでご自身のエリアの指定講習事業者を確認しましょう。

福祉用具専門相談員指定講習のカリキュラム

福祉用具専門相談員指定講習のカリキュラムは、以下の通りです。

科目 時間数
1.福祉用具と福祉用具専門相談員の役割
福祉用具の役割 1時間
福祉用具専門相談員の役割と職業倫理 1時間
2.介護保険制度等に関する基礎知識
介護保険制度等の考え方と仕組み 2時間
介護サービスにおける視点 2時間
3.高齢者と介護・医療に関する基礎知識
からだとこころの理解 6時間
リハビリテーション 2時間
高齢者の日常生活の理解 2時間
介護技術 4時間
住環境と住宅改修 2時間
4.個別の福祉用具に関する知識・技術
福祉用具の特徴 8時間
福祉用具の活用 8時間
5.福祉用具に係るサービスの仕組みと利用の支援に関する知識
福祉用具の供給の仕組み 2時間
福祉用具貸与計画等の意義と活用 5時間
6.福祉用具の利用の支援に関する総合演習
福祉用具による支援の手順と福祉用具貸与計画等の作成 5時間
合計 50時間

出典:一般社団法人全国福祉用具専門相談員協会「別紙1 福祉用具専門相談員指定講習における目的、到達目標及び内容の指針」

全50時間のカリキュラムを修了後、筆記による修了評価を行います。試験とは異なりますが、講習の内容をしっかり理解できているかを測るものとなっているので、不安がある方は復習しておくようにしておきましょう。

福祉用具専門相談員指定講習の費用

福祉用具専門相談員指定講習にかかる費用は講習実施機関により異なりますが、概ね50,000円程度とされています。

決して安くない金額ですが、福祉用具専門相談員は雇用保険における特定一般教育訓練の対象となっており、要件を満たせば受講費用の40%(上限20万円)が支給される資格ですので、制度を活用して費用を抑えることもできます。

教育訓練の詳しい内容について気になる方は厚生労働省のページをご覧になるか、こちらの記事をご覧ください。
教育訓練給付制度とは?〜介護・福祉の資格取得・講座受講時に確認したいポイントについて〜

指定講習を修了しなくても福祉用具専門相談員として働くことができる資格

福祉用具専門相談員指定講習を受講・修了しなくても、以下の国家資格を持っている方は福祉用具専門相談員として業務にあたることが可能です。

  • 保健師
  • 看護師
  • 准看護師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 社会福祉士
  • 介護福祉士
  • 義肢装具士

どうせなら国家資格を取得して、福祉用具専門相談員を目指したい!という方に向けて、それぞれの資格の取得方法について簡単にご紹介します。

保健師

保健師は、医療福祉分野における国家資格で、看護師資格を持っている方が大学などで必要な科目を履修して卒業することで受験資格を得ることができます。

看護師試験と保健師試験を同時に受験することも可能ですが、看護師試験に不合格となってしまった場合には、保健師試験に合格したとしても保健師として働くことはできません。

保健師について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
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看護師

看護師は、医療分野における国家資格で、大学などで必要な科目を履修して卒業することで受験資格を得ることができます。

病院やクリニックだけでなく、高齢者介護や障害者支援の分野でも体調の管理や一部の医療行為を提供することのできる存在として、活躍することのできる職種・資格です。

准看護師

准看護師は、医療分野における公的資格で、専門学校などで必要な科目を履修して卒業することで受験資格を得ることができます。看護師と比較して修学年数が短く、担う業務範囲が異なるという特徴があります。

具体的には、看護師が一部の医療行為を自身で判断して患者や利用者に提供することができるのに対し、准看護師は全ての医療行為を医師もしくは看護師の指示のもと提供します。

理学療法士

理学療法士は、リハビリテーション分野における国家資格で、大学などで必要な科目を履修して卒業することで受験資格を得ることができます。

基本的な動作のリハビリの専門家として病院やクリニックなどで活躍しているイメージがありますが、高齢者介護や障害者支援、児童福祉分野でも需要の高い職種、資格です。

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作業療法士

作業療法士は、リハビリテーション分野における国家資格で、大学などで必要な科目を履修して卒業することで受験資格を得ることができます。

対象者らしい生き方が送れるように、様々なリハビリを提供するための知識と技術を得ることができるため、理学療法士と同様様々な分野で需要の高い職種、資格です。

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社会福祉士

社会福祉士は、福祉分野における国家資格で福祉系大学や養成施設で必要な科目を履修し卒業することで受験資格を得ることができます。修学年数が短いなどの場合、相談援助業務の実務経験が必要なケースもあるため注意が必要です。

社会福祉士は高齢者介護だけでなく、障害者支援、地域支援などの現場でも活躍する職種、資格です。

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介護福祉士

介護福祉士は、介護福祉分野における国家資格で受験資格として複数のルートが存在しますが、働きながら受験資格を得ることのできる実務経験ルートがオススメです。

介護職として3年以上従事し、その間に介護福祉士実務者研修を修了する必要がありますが、多くの介護事業者が資格取得支援制度を設けており、研修受講にかかる費用負担などをしてくれるため、給料をもらいながら費用も抑えて資格を得ることができるのが魅力です。

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義肢装具士

義肢装具士は、医療福祉分野における国家資格で、全国に10箇所ある養成校のいずれかを卒業することで受験資格を得ることができます。

養成校については一般社団法人日本義肢協会のページから確認することができます。

手足を失った方に対し義肢・義足を製作する知識や技術を修得することができるので、福祉用具専門相談員としてもその知識を活かして活躍することができるでしょう。

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福祉用具専門相談員と併せて取得したい資格

利用者が高齢者であることが多く、提案する福祉用具も介護に関連するものが多いことから、介護に関する知識や技術は身につけていて損はないでしょう。

そこで、福祉用具専門相談員資格と併せて取得することをおすすめする資格を3つご紹介します。

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、介護の基礎的な知識と技術を学ぶことができる全130時間の研修です。受講資格はなく、誰でも受講することが可能です。

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介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修は、介護福祉士国家試験を受験するために必要な研修ですが、介護職員初任者研修同様、受講資格がなく誰でも受講することができる研修です。

全450時間の研修では、介護職員初任者研修で学ぶ内容に加えて、喀痰吸引や経管栄養といった一部の医療的ケアについても学ぶことができます。

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認知症介護基礎研修

認知症介護基礎研修は、認知症の高齢者を介護するために必要な基礎的な知識を修得することを目的とした研修です。

e-ラーニングで150分の研修を修了することで得ることができる資格となります。

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福祉用具専門相談員の給料

厚生労働省の職業情報提供サイト「福祉用具専門相談員」を見てみると、福祉用具専門相談員の全国平均年収(※1)は381.9万円とされていることが分かります。

また、2023年6月16日時点でe介護転職に掲載されている求人の全国平均月給は209,534~231,486円でした。

あくまでも平均額であるため、同じ事業所で長く勤めたり、年齢を重ねて経験を積むことで給料をアップさせることができますよ。

※1
令和4年度賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成されたデータを使用

福祉用具専門相談員のやりがい

福祉用具専門相談員として働く中で、やりがいを感じる瞬間についてご紹介します。

自分の提案で利用者やご家族の負担軽減につながる

福祉用具は、要介護者やその家族の生活の質を高めるために重要な役割を果たす道具でもあります。

例えば、福祉用具を使うことで動くことがスムーズになれば、人の助けがなくても移動ができ、行動範囲が広がるかもしれません。また、自宅で介護を受けながら生活している方が便利な福祉用具を使えば、家族の介護にかかる時間の短縮や、負担軽減につながることもあるでしょう。

感謝の言葉を直接聞ける

要介護者の状態は、日々刻々と変化します。突然、病気や怪我で状態が変わることもあれば、段々と老化によって変化してくる場合もあります。

こうした変化に早く気づき、環境と照らし合わせながら適切な福祉用具を選ぶことができれば、「動きやすくなったよ」「介護の負担が減り、自宅での介護に自信がついたよ」などの言葉をもらえることもあります。

福祉用具専門相談員に向いている人

福祉用具専門相談員になりたいけど、自分には向いているかな?と不安に感じている方も少なくないのではないでしょうか?

そこで、福祉用具専門相談員としてすでに活躍されている方にどんな特徴があるのかという観点から、この職種に向いている人をご紹介します。

アンテナを高く張り勉強意欲のある人

福祉用具は一度作られたら終わりというわけではなく、メーカー側が改良を重ねてより利便性を高めた製品がリリースされたり、新しい企業が参入し新たな用具が追加されたりと、常に情報をアップデートしなければならない市場でもあります。

新しい製品の取り扱いや注意点を勉強したり、どんな方に適した用具なのかを実際に目で見て確かめたりする必要があります。

そのため、新しい情報を仕入れることに苦がなくアンテナを高く張ることができる、その情報をもとに利用者のことを考えて製品理解のための勉強ができるという方が、福祉用具専門相談員として多く活躍されています。

利用者の変化に気付くことができる人

いくら自分が気に入っている製品でも、利用者にとっては扱いづらい、肌に合わない製品であるということはよくある話しです。

また、病状や介護度の変化により、これまで利用していた用具が合わなくなることもあるでしょう。

利用者の発言や表情、利用している様子を見てちょっとした変化に気付き、別の提案を行ってみるという行動力も、福祉用具専門相談員として重要な要素です。

まとめ

今回は、福祉用具専門相談員の仕事内容、資格の取り方、給料、やりがい、向いている人の特徴について詳しくご紹介しました。

高齢化が進み、介護施設を利用せずともご家族からの介助を受けたり、単身で生活していながらも日常生活に不便さを感じている方は今後も増えていくでしょう。

そんな中で、利用者や生活環境に合った福祉用具を提案しその方の不満を解消する、介護度を重度化させないなどの働きができる福祉用具専門相談員のお仕事に興味を持った方は、ぜひe介護転職でお仕事を探してみてはいかがでしょうか。

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参考