社長インタビュー
株式会社やさしい手
株式会社やさしい手
代表取締役社長 香取 幹氏
介護業界の今後について 第2回(4回連載)
「やさしい手」の代表取締役社長・香取様にインタビューしました。
北上
極めて重要な、本当にすごいお話だと思います。
面白いなと思ったのは独自のアセスメントシートを使って介護予防計画をやっていくのだという、つまり御社のサポートスタッフの方が介護を受ける人たち、予防を受ける人たちに対して、いわゆる数字目標といいますか計画性をもってやっていく。
これは非常にありそうでないと思います。
と申しますのもどちらかというと人間というのは管理するのを嫌がったり、易きに流れやすかったりします。
そこをやはり前向きに自立していくために、一緒になってやっていくというのは、まさに今後の介護予防とかのあるべき姿だと思うのです。
香取氏
ノルマ管理という、ご本人のチャレンジ心に基づくマネージメントということになると思います。チャレンジ心がない人もいますし。
北上
あまり大きい声でいうのもなんですが、逆に病気になったり、自己の管理能力がなさ過ぎたり、好き放題をやって病気になって介護を受けなくてはいけないというのは、逆に非社会貢献のところになっていくのではないかと思ってしまいます。
香取氏
保険財源について、そういう発想もあるように聞いています。
いずれにしても結局自分の命に関わることですから、結局のところそういう議論においても自分はどのように、いつ死ぬかの選択も出来ています。
自分のライフデザインをどのように考えていくのかも非常に大切なことになってくると思います。
介護受ける人、サービスする人のコミュニケーション
目標に向けて心が折れそうなご利用さんに、励ましや目標再認識のプログラムを実施
北上
介護を受ける人と、介護サービスをする人の心の通い合いといいますか、お互いのコミュニケーションが非常に大切になると思います。
具体的に会社から介護を受ける人たちに対して、こういう話をしなさいとか、とくに自立に向けてやっていこうという話をされますか?
香取氏
介護予防においては、途中で「やっぱりダメだよね」と皆さんいいますから、励ましや目標の思い出し等のプログラムをきちんとしていかないとなかなか難しいと思います。
北上
感触といいますか、自立して頑張っていこうとする人達はどのぐらいの割合がいらっしゃるのでしょうか。
香取氏
私どもの働きかけの機能と質によりますが、かなり違うと思います。
会社の社員でもそうですね。
「皆やる気がないんだ。ダメだ」と言うのではなく「全員、みんなやるのだ」と言うと、とても能力を発揮して下さることがあります。
同じように、私どもの働きかけも品質によって、前向きになる利用者様の比率も変わってくると思います。
やさしい手の求める人物像とは?
介護事業が1つの産業として認知される為に志の高い人に沢山入ってきて欲しい
北上
私も会社運営が7年目になるのですけれども、本当に会社というのは人がいないと動きませんし、人のモチベーションで大きく左右されると感じます。
例えば、御社のなかで働く人材像、こういう人材に入ってもらいたい、こういう人間が介護業界には必要なのだという人材像が、もしありましたら教えて頂きたいです。
香取氏
介護事業が一つの産業として、きちんと周りの産業からも認知をもって拡大する必要性があると思います。
その意味で、志の高い人材が沢山流入してくることは非常に重要なことだと思います。
ただ、もともと優秀な人を私どもの業界で採用したとしても、成果を上げて産業の拡大に寄与するためには、放っておいては絶対に上手くいかないと思います。
私どものような事業者が、介護事業の産業化に向けて長期の視点で人材育成ができるかどうか。
この点が私どもの業界においては、非常に重要なポイントになってくると思います。
今までの社会福祉における人材育成の発想は、どのようなオペレーションがあり、マネージメントに関わっていくのか、についてでした。しかし、一産業としてどう人材育成をするか、業績を含めた会社の育成をするか、という発想から人材が供給されたことは過去にありません。
アカデミックな業界では、この発想がないので我々で、きちんと人材をお預かりして育てることが重要なことだと思うのです。
これは、今後の産業の確立には非常に重要なポイントになると思います。
やさしい手の求める人物像とは?
介護事業が1つの産業として認知される為に志の高い人に沢山入ってきて欲しい
北上
現実問題として、介護業界の離職率は20%を超え、全産業でワースト2位に位置する業界なのです。
1位が実は外食産業で25%前後、介護業界がだいたい22%前後といわれています。
そもそも私どもはそこに目をつけてといいますか、逆に使命感を感じてこの業界でやっていこうと考えたのです。
香取社長もおっしゃったように、この業種は比較的長く仕事を続けていかないと結構難しいと思うのです。
御社の離職率は不明ですが、打開策、解決策、御社内で対策などしていることが何かあれば教えていただきたいのですけれども。
香取氏
やはり若くても、若くなくてもいいのですが、経営管理層がきちんとした機能を果たすことが重要だと思います。
その能力があまり高くなくて、離職率に繋がっていると思うのです。
メカニズムや経営管理システムとして、きちんとした人材マネージメントを展開できるようにすることが、離職率の低下にはもっとも効く薬だと思います。
北上
それは具体的に、例えば報酬の部分なのか、何に比重を置くか、ではどうでしょう?
香取氏
全体的な人材マネージメントをどのようにするかでしょうね。
そのなかで役割モデルの人材をつくっていくということです。
そのなかで役割モデルをきちんとつくって目に見える形にしていくことが大切なことです。
北上
紙面の都合もありますので、香取様とのお話は第3回へと続きます。⇒
(第2回終了。)
やさしい手 会社概要
■設立年月
平成5年10月1日
■代表取締役社長
香取 幹
■業務内容
指定居宅サービス事業
訪問介護(滞在・巡回)/訪問入浴介護/通所介護(デイサービス)/福祉用具貸与販売・住宅改修/短期入所(ショートステイ)
指定居宅介護支援事業所
委託事業
包括支援センター/在宅介護支援センター
有料職業紹介事業
一般労働者派遣事業
フランチャイズ事業
各種介護職員養成講座(初任者研修・都県指定ホームヘルパー2級養成講座・他)
サービス付き高齢者向け住宅運営事業