社長インタビュー

株式会社やさしい手

株式会社やさしい手
代表取締役社長 香取 幹氏

香取氏とイーライフ(前e介護転職運営)代表北上

介護業界の今後について 第3回(4回連載)

やさしい手」の代表取締役社長・香取様にインタビューしました。

離職者の最大の理由=入社前後のギャップ

採用と現場の認識の差をなくし、経営管理層もリスクを減らす努力を真面目にする

北上

e介護転職の最大の差別化は情報量です。

離職した人のアンケートを取ると「なぜ離職したのですか」で最も多い理由が、入社前後の待遇が違う、説明がなかった等のギャップが大きいとよく聞きます。

香取氏

人材マネージメントの一部の機能としては、RJP(リアリスティック・ジョブ・プレビュー)という仕組みを、きちんとやっているかどうかです。

また採用部門と現場とのコミュニケーション不足で、悪意なくギャップが起こる事が多いと思います。そのギャップを経営管理層が認識して、リスクを減らす努力を真面目にきちんと出来るかが重要だと思います。

労務管理も含めた、全体的な人材マネージメントのデザインが隅々まできちんと、意識的に作られているかどうかは離職率の低下に重要なポイントになると思うのです。

モチベーション向上について

魔法のような言葉はかけない様に努力している
むしろ経営管理システムについて一生懸命にやる

北上

社長様から社員に対してモチベーションを上げる為にどのような意識をもって話をしているのでしょうか?

香取氏

何か魔法のような言葉で皆さんをやる気にさせることは、比較的しないように逆に努力しています。

むしろ経営管理システムで透明性を上げる、当社が進むべき方向性に理解を深める努力をする、自分の思いを職務に反映できるようにしていくなど・・・。この様に経営管理システムについては一生懸命にやっています。

敢えてやるとしたら、「社会人として社会から求められるニーズは何か、それを実現することが社会人としての使命なのだ」について改めてお話させて頂く。

当社としては成長性だと思います。株主の為だけではなく、社員全員が収入を向上させて、会社の優位性に基づく将来の可能性を拡大することが、最重要事項だと思うのです。

人によっては、今月どうやってこなすしか考えていない可能性があります。1年後、3年後、10年後、20年後に、この方がどのような形で可能性を信じる立場に位置づけられるか。会社として、この可能性をきちんと確保して、各人デザインしていく。

先ほど申しあげたとおり、可能性によって多様な選択が出来るようになっていると思っています。

その可能姓について自分できちんと考えデザインして、選択できるようになることが、会社にとって競争優先の源泉になると思います。

北上

一人の経営者として非常に感銘を受けます。

私は今29歳です。23歳で会社をつくって今に至るのですが、色々な方のご支援等を受けて今があります。
役員が私の他に2名いまして、その1人が大塚商会の専務だった方なのです。
大塚商会の今は相談役ですが、大塚実会長の側近にいた方で、大塚実会長の考え方とか書物とか、販売していませんが非公開の本が多数あるのです。
それを頂戴していろいろ読んでいく中で、会社というのは株主というよりは社員の幸せの上に成り立つべきだ、高給料、高福祉ということを考えてなさっているのです。
非常に感銘を受けました。

香取様は2代目の社長ですよね。創業社長でこの考えは多いですが、失礼ながら2代目の社長の方で何故そこまで思えるのかと疑問に思いました。初代の社長から考え方などは影響を受けたのでしょうか。

香取氏

影響は十分受けていると思うのですが、やはり事業の部分としてはかなり苦労してきたということがあると思います。

北上

なるほど。
やはり事業をやっていくのは本当に大変なのだということですね。

香取氏

そうですね。
そういう経営に関する主体性というようなものを私も若い頃からずっとやっていますので、そういうプロセスのなかで得たことだと思います。

上場と高待遇の相反するもの

長期的なスパンからすると、努力して両立させる

北上

ここだけの断面的な情報でしかありませんが、おそらく今後その業績を伸ばしていく為には、上場なども視野に入れて社内体制を固めていくのではないかと思われます。

そのなかで社員に対しての待遇を良くするのは相反すると思うのです。

香取氏

上場するなかで社員に対して給料を増やすといったら逆に怒られてしまう。それなら、おろさせてくださいと言われてしまいますので、とても言える話では無いと思います。

長期的なスパンからすると、私どもとしては両立をしていく。難しいことなのです。

給料を上げながら利用者さんからの貰いも少なく、一定など、これを両立させるのは相当大変な騒ぎだと思います。

出来るかどうかは分かりませんが努力していく。これは責務としてやらないといけないだろうなと思っています。

とくに労働産業ですから、全部人件費ですから。
当然限界もあるでしょうが、もらいは全部人件費に換わりますので「努力しようとしても限界があるよね」と言えばそれでおしまいです。努力として、どれだけ工夫をするのか、頭をひねるのか、はまだまだ余地があると思います。

北上

マーケットはいくら利益を出して、PRがいくつで、業績予想して、100億円の売上が上がってもバリューで100億を切っているという事業者さんも結構あります。本当に舵取りが難しい業界だなという印象を持っています。

香取氏

公的補完制度なので制度リスクは常につきまといます。例えば官公庁受注率が高いと会社のPRは下がります。

それを積極的に上手くマネージメントしてきちんと業績を上げていく。陽は当たらないですが面白い仕事だと考えています。

これから指定管理専業会社なども上場してくると、それこそ官公庁受注リスクが上場のボトルネックになる可能性が非常に高い。しかし、それはそれで意味がある。根本的にネガティブに捉えない。つきあい方があまりよくわからないのですよ。今までそういう会社がなかったと思うのです。

保険制度に基づくビジネスリスクをもつ会社を、投資家の皆様方が評価の仕方があまりわかっていないのです。

これが段々浸透してくると、意外とその法的縛りが大変な参入障壁になる。まさにコア・コンピタンスになる優位性の様なところを長期にわたって業績で立証していく。これが、我々としても株式市場についてはやり方があるのかなと思っているのです。

北上

紙面の都合もありますので、香取様とのお話は第4回へと続きます。⇒
(第3回終了。)

やさしい手 会社概要

■設立年月
平成5年10月1日

■代表取締役社長
香取 幹

■業務内容
指定居宅サービス事業
訪問介護(滞在・巡回)/訪問入浴介護/通所介護(デイサービス)/福祉用具貸与販売・住宅改修/短期入所(ショートステイ)
指定居宅介護支援事業所
委託事業
包括支援センター/在宅介護支援センター
有料職業紹介事業
一般労働者派遣事業
フランチャイズ事業
各種介護職員養成講座(初任者研修・都県指定ホームヘルパー2級養成講座・他)
サービス付き高齢者向け住宅運営事業